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がん患者さんが心がけるべき、感染予防の方法は?

がん患者さんも一般の人も新型コロナウイルス感染症に対する予防策の基本はほとんど変わりません。

予防策① 外出頻度を最小限度に

まず、第一の予防策は外出頻度を最小限度にとどめ他人との接触機会を極力減らすことです。「外出=交通機関に乗って出かけること」と考える人も少なくないようですが、この場合は「外出=最寄りの商店街やコンビニに行くことも含めて自宅の外に出掛けること」です。
もちろん日常生活に必要な食料品や日用品の買い物は必要ですが、例えば毎日購入していたものを、1回当たりの購入量をやや多めにするなどして週2~3回にする、通信販売などを利用することで外出頻度を減らすことは可能です。
がん患者さんの場合は定期的な通院も必要です。ただ、今回の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、国は電話診療も含むオンライン診療を幅広い患者さんで利用できる時限措置を行っています*1。 がん患者さんでも治療の内容によってはオンラインでの対応が可能で、例えば毎月の通院を2カ月に1回に減らせる可能性があります。オンライン診療が可能かどうかは主治医に相談してみて下さい。

予防策② 「3密」を避ける

第二は感染が起こりやすい「密集・密閉・密接」、いわゆる「3密」の施設に立ち入ることを可能な限り避け、他人とはできる限り2m程度は離れる「ソーシャル・ディスタンス」の確保に努めることです。2mの距離は会話などによる唾の飛沫などが届きにくいとされ、それを確保することによる飛沫感染の予防が推奨されています*2

予防策② 「3密」を避ける

予防策③ 手洗いで「接触感染」を予防

第三は手洗いです。感染症全般での感染経路として飛沫感染以上に有名なのが、ウイルスなどに汚染されたものを触った手を介して感染する「接触感染」です。ちなみに今回の新型コロナウイルスはガラス・お札の表面で4日、ステンレス・プラスチック・サージカルマスクの表面で7日も生存し続ける可能性があると報告されています*3。 しかし、身近なものすべてを消毒することは物理的に不可能です。つまり、手をまめに洗うことは接触感染を防ぐ極めて合理的な方法なのです。

予防策③ 手洗いで「接触感染」を予防

予防策④ マスク着用で「飛沫感染」を回避

第四はマスクです。マスクは従来から咳などの症状がある人が他人にウイルスなどを感染させないために使うもので、無症状の人が着用することによる感染症予防効果はないとされてきました*4。 ただ、今回の新型コロナウイルスは感染者の8割が無症状や軽症で、かつ無症状期に他人への感染力が最も高いことが分かっています*5。 このため最近では世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)なども、流行地域では症状のない人でもマスク着用を推奨しています*6。 また、最近の研究ではマスク着用中は飛沫が空中にほとんど飛ばないことも明らかになり*7、 新型コロナウイルスの感染予防に一定の効果があるのではないかと考えられています。政府の新型コロナウイルス専門家会議が提示した「『新しい生活様式』の実践例」でも外出中に屋内に入る時や会話をする時のマスク着用を推奨しています*8
しかし、マスクに関しては注意も必要です。マスク着用時は必然的に手で顔を触れる頻度が多くなりますが、予防策の3番目にあげた手洗いを怠ったままだと、ウイルスで汚染されている手で顔を何度も触ることになり、目や鼻、口から新型コロナウイルスが侵入する機会が増え、逆に感染リスクが高まることもあるからです。実際、WHOはマスクを触る前、触った後もそれぞれ手を洗うよう推奨しているほどです*9。 また、米CDCは、マスク着用はソーシャル・ディスタンスの代用にはならないと注意喚起をしています*10。 マスクの過信は禁物です。
一方で、人との距離がとれる屋外でのマスクの着用は推奨されていません*11。 米CDCなどでは、呼吸に問題がある人や手の不自由な人、2歳以下の幼児でのマスク着用を避けるように呼び掛けています*12。 がん患者では、呼吸機能が低下した肺がん患者さんなどがこれに該当するでしょう。さらに気温の高い時のマスク着用は熱中症などの危険もあります*11。 息苦しさを感じた時は無理せずにマスクを外して、ソーシャル・ディスタンスの確保に努めましょう。

家族や友人のサポートも

患者さんのご家族や友人の皆さんも患者さんへの感染リスクを減らすため、ここで示した4つの対策を実践することが望ましいです。また、外出頻度を減らした患者さんの代わりに買い物を引き受ける、患者さんが通院などの必要不可欠な外出の際に3密に近い公共交通機関を利用しないよう自動車で送迎することなども助けになります。その場合は、密閉空間にならないよう、換気は忘れずに行ってください。

免疫力を低下させない生活習慣

十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を軸とした規則正しい生活の実践が重要です。不規則な生活はホルモンの分泌や酵素の働きが乱れ、体調を崩しやすくするため、通常と同じ時間に起きるよう心掛け、毎日起床時間と就寝時間を一定にしましょう。食事は、糖質・脂質・蛋白質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素をバランスよくとれるよう心掛けるといいでしょう*13

免疫力を低下させない生活習慣
参照

(9月19日確認)近畿大学医学部 腫瘍内科部門臨床腫瘍内科 中川 和彦

※この情報は令和2年9月19日時点のものです。

監修:
近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 主任教授
中川 和彦 先生