あなたと一緒に、がんと向き合う

治療の悩み Q&A

新型コロナウイルスの状況下における、がん患者さんの治療の悩みに回答していきます。

Q&Aにお答えいただいた先生

  • 中川 和彦 先生
    中川 和彦 先生
    近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 主任教授
  • 山本 信之 先生
    山本 信之 先生
    和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座) 教授
  • 前門戸 任 先生
    前門戸 任 先生
    岩手医科大学内科学講座 呼吸器内科分野 教授
  • 佐々木 治一郎 先生
    佐々木 治一郎 先生
    北里大学医学部附属 新世紀医療開発センター 教授

Q1. がんの発見が遅れ、手遅れになるのが怖いです。がん検診は受けた方がいいのでしょうか? また、受けられるのでしょうか? (胃がん/50代男性)

がんの発見が遅れないように、がん検診は受けた方がいいです。がん検診が予定されている場合にはそのまま受診していただくことをお勧めします。一時期、プロテクターなどの医療資材が不足しましたが、現在、不足部分は補えており、がんの検診が行われている医療機関も新型コロナ感染症に対する対策は十分に取られています。第1波が起こった時には重症感染者数も多くなり、急がない人は少し検査を待ってもらっていましたが、現在は落ち着いてきたため、当院でも受診の呼び掛けを行っています。安心してがん検診を受診していただければと思います。
中川 和彦 先生/近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 主任教授
(取材日:2020年7月20日)

Q2. コロナなどの受け入れ患者が増えて医療機関が逼迫した場合、今行っている2泊3日の入院で点滴を受ける治療ができなくなり、通院治療になると言われました。
治療効果は一緒なのでしょうか? (大腸がん/50代女性)

治療方法が変わらないかぎり、治療効果は一緒です。ただし、通院治療に変わるにあたり、使用する薬剤が変わる可能性もあります。そうなると治療効果にも違いが出る可能性がありますので、主治医に確認しましょう。
山本 信之 先生/和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座) 教授
(取材日:2020年7月22日)

Q3. 現在分子標的薬で治療中です。耐性が出る前に次の治療決定のためにセカンドオピニオンを県外の大学病院で受けようと思っていました。この状況下で外出せず、耐性が出てきてからセカンドオピニオンを受けるべきですか? 緊急事態宣言が解除された今余裕を持ってセカンドオピニオンを受けておくべきですか? (肺がん/50代女性)

セカンドオピニオンは非常に重要な選択肢ですが現在、医療機関によっては、セカンドオピニオンの対応が難しい場合があることをご理解ください。電話等の相談で対応できるようであれば、セカンドオピニオンの代替とすることを主治医と検討してください。複数の大学病院でオンラインセカンドオピニオン外来が開かれています。タイミングも含めて主治医の先生に相談してみることをお勧めします。
前門戸 任 先生/岩手医科大学 内科学講座 呼吸器内科分野 教授
(取材日:2020年7月16日)

Q4. コロナの影響で延期している手術は今後どのような状況になったら行われますか?
(上行結腸がん/60代女性)

地域ごとに新型コロナウイルス感染の状況が異なりますし、病院の感染対策や感染者受け入れ状況も異なります。したがって、手術の延期や再開については病院ごとで対応が異なりますのでそのことはまず認識しておいてください。緊急事態宣言の状況では、多くの施設で早期がんなど緊急で手術を行う必要がないと判断された手術が延期されました。これは、手術を契機とした新型コロナウイルスの院内感染の防止や、感染時の重症化の予防など、がん患者さんを守るための判断でした。また、新型コロナウイルス肺炎患者増加により、集中治療室の確保や人工呼吸器等を扱う麻酔科医師の確保など医療崩壊を防ぐ意味合いもありました。さらに、医療従事者への感染の危険性が高い一部の手術では、手術のメリットとリスクのバランスも考え、手術に代わる代替治療を選択された場合もありました。
緊急事態宣言が解除された今、当院でも徐々に手術が再開され、現在は通常に近い件数が実施されています。しかし、今後また感染者が増加した場合は、施設によっては前回と同様の手術延期が行われる可能性があります。手術の延期は、がん治療の延期というデメリットと患者さんのコロナ感染のリスクの回避というメリットを患者さんごとに検討したうえで決定されています。仮に一旦延期されていた手術でも、感染拡大の波が小さくなり通常診療に戻ってくれば適切な時期に行われます。また、緊急を要する手術が延期されることはないので安心してください。
佐々木 治一郎 先生/北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授
(取材日:2020年7月23日)

Q5. コロナに罹った場合、コロナの治療とがんの治療は同時にできるのでしょうか?
(乳がん/50代女性)

コロナに限らず、感染症に罹患した場合はがんの治療が制限されるのが一般的です。まずは感染症の治療を優先し、症状や治療効果をみながらがんの治療の再開を検討します。ただし、がんの治療によってはコロナの治療と並行して行うものもありますので、主治医の先生の説明を聞いてください。
佐々木 治一郎 先生/北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授
(取材日:2020年7月23日)

参照
  • *1 日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A-改訂第2版- 2.1)
  • *2 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年6月30日版)より試算(厚生労働省)
    (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12154.html)
  • *3 日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A-改訂第2版- 5.薬物療法についてⅡ.1)

(9月19日確認)近畿大学医学部 腫瘍内科部門臨床腫瘍内科 中川 和彦