あなたと一緒に、がんと向き合う

生活の悩み Q&A

新型コロナウイルスの状況下における、がん患者さんの生活の悩みに回答していきます。

Q&Aにお答えいただいた先生

  • 中川 和彦 先生
    中川 和彦 先生
    近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 主任教授
  • 山本 信之 先生
    山本 信之 先生
    和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座) 教授
  • 前門戸 任 先生
    前門戸 任 先生
    岩手医科大学内科学講座 呼吸器内科分野 教授
  • 佐々木 治一郎 先生
    佐々木 治一郎 先生
    北里大学医学部附属 新世紀医療開発センター 教授

Q1. コロナの感染拡大の前から適度な運動をと思い、散歩をしていました。不要不急の外出を控えるよう言われていますが、散歩もやめた方がいいですか? (卵巣がん/40代女性)

野外を歩くことはリスクが低いと思われます。散歩を控える、運動習慣を変えてしまう方がよくない*1ので、続けることをお勧めします。
山本 信之 先生/和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座) 教授
(取材日:2020年7月22日)

Q2. 家族ががん患者です。1人で通院できないのでいつも付き添っているのですが、家族が気を付けることはありますか? (神経芽腫の児を持つ母/30代女性)

患者さんお1人での通院が困難な場合、付き添いはやむを得ないです。その際、発熱や咳などの症状がなくても、マスクを着用する、咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)や手洗いの徹底を心がけるなどを行ってください。ただし、付き添う人が発熱や風邪症状があれば、他の人に代わってもらう必要があります。また、付き添いは1人にするなど、少人数で医療機関にかかってください。
山本 信之 先生/和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座) 教授
(取材日:2020年7月22日)

Q3. 自粛でストレスが溜まってきています。かと言って外に出るのも怖いです。治療や今後のことにも不安を感じています。また、罹ったら重症化してしまうのではないかとニュースなどを見て不安な日々を過ごしています。対策はありますか?相談できる場所があったら教えてください。 (乳がん/50代女性)

コロナに関してまだ分からないことも多い現状ですが、厚生労働省や学会など明確な団体が発信している情報を得て、恐れるところは正しく恐れて対策を取りましょう。その上で、自分でできるストレス解消をするようにしましょう。密閉・密接・密集を回避し、外から帰って来たら手洗いうがいをすることで、感染予防対策はしっかりと行ってください。現在の日本の累計感染者数は1万6千人*2で、実際に日本でコロナに罹っている人は1万人に1人強と言えます。一般的に 2割の方が重症化し*3、死亡される方は約5%に過ぎません*4。  他の疾病に比べて過剰に恐れる必要はありません。例えば近隣の散歩などは取り入れても問題のないストレス解消法です。不安やストレスが積み重なり、自分で対処できない場合は、専門家に相談したり、精神腫瘍科に相談したりすることもできます。またがん相談支援センターでの相談も可能です。
山本 信之 先生/和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科(内科学第三講座) 教授
(取材日:2020年7月22日)

Q4. 抗がん剤治療を受けています。感染しないように注意する点はありますか?
(乳がん/50代女性)

抗がん剤治療中の方も一般の方と同様、人混みに行かない、マスクを着用する、こまめな手洗い、身の回りの除菌などの感染対策を行ってください。
前門戸 任 先生/岩手医科大学 内科学講座 呼吸器内科分野 教授
(取材日:2020年7月16日)

Q5. インフルエンザのワクチンを今まで受けていなかったのですが、今年は受けた方がいいですか? (大腸がん/70歳代男性)

インフルエンザワクチンは、インフルエンザ感染による重症化を防ぐのに役立っています。高齢者、がん患者などインフルエンザ感染に伴って重症化のリスクが高い方にワクチンのメリットがあります*5。 これからは新型コロナウイルスとの合併も考えられます。是非、インフルエンザワクチンの予防接種を受けてください。
前門戸 任 先生/岩手医科大学 内科学講座 呼吸器内科分野 教授
(取材日:2020年7月16日)

Q6. 家族の職場の人でコロナ陽性の人が出て家族が接触者の可能性があります。家族はもちろんですが、がんの治療中である自分が罹患して重症化しないために家族で気を付けることは何ですか?また、もしコロナの感染を否定できない症状が出た場合(倦怠感や発熱など)家族間の接触はどうしたらいいですか? (軟骨肉腫/50歳男性)

新型コロナウイルス感染者とご家族が接触した場合は、必ず保健所、帰国者・接触者相談者センターに連絡してください。保健所が接触したご家族が濃厚接触者であるかどうかを判断します。ご家族が濃厚接触者の場合は、保健所の指示に従ってください。濃厚接触者ではない場合は、2週間ほどご家族で健康チェックを行ってください*6。  発熱や咳、味覚障害などが出ないかどうかを自己観察する必要があります。もし、ご家族あるいはご本人に症状が出現した場合は、過去に新型コロナウイルス感染者と家族が接触の可能性があることをあらためて保健所に連絡し、症状を伝えてください。保健所からの指示が来るまでは、症状のあるご家族は可能な限り別室で生活し、タオルやコップなどを分けるなどできるだけ他の家族との接触を避けてください。
佐々木 治一郎 先生/北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授
(取材日:2020年7月23日)

Q7. がんサバイバーです。コロナウイルスに感染したことが疑われる症状が出た場合、どこに連絡したらいいでしょうか?日常生活ではどんなことに気をつけたらいいですか? (子宮体がん/40代女性)

現在がんの治療を行なっていないがんサバイバーの方は、かかりつけ医または保健所、帰国者・接触者相談センターに相談し指示に従ってください。かかりつけの病院へは、必ず電話連絡を入れてから受診するようにしてください。対策としては、社会的な距離を保つこと、手洗いをしっかり頻回に行う、3密を避ける、身の回りの触れる部分の除菌、手が完全に洗浄されていない状態で顔に触れないなどがあります。
佐々木 治一郎 先生/北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授
(取材日:2020年7月23日)

Q8. コロナへの感染を恐れて子どもや孫たちの接触を避けているのですが、それは続けるべきでしょうか?どのようなことに注意をしたら一緒に過ごせますか?(多発性骨髄腫/60代男性)

地域の感染の状況により異なりますが、緊急事態宣言が解除された現在はマスクや手洗いの励行など感染予防策をとったうえで面会をすることは可能と思います。再度感染が拡大する場合には、直接的接触を避けた方が良い場合もあります。
佐々木 治一郎 先生/北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授
(取材日:2020年7月23日)

Q9. がんサロンや患者会への参加で他のがん患者さんと交流できることが励みになっていました。それがコロナの影響で軒並み中止になり孤独感を感じています。何か交流が持てる場はありますか? (大腸がん/60代女性)

がん患者さん同士の交流ができないというのは辛いですよね。ご自分が感じていることはみんなも感じることで、がんサロンや患者会でも様々な試みが始められています。ウェブ会議システムを用いた交流会などです。SNS やウェブサイトで案内がある場合がありますからまずは参加してみてはどうでしょう。交流会でなくとも、コミュニケーションの機会を増やすことが大事です。すでにSNSでのつながり場合や、電話番号をご存知の仲間に連絡をとってみるなどでコミュニケーションを築くのもいいかと思います。
佐々木 治一郎 先生/北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授
(取材日:2020年7月23 日)

参照

(9月19日確認)近畿大学医学部 腫瘍内科部門臨床腫瘍内科 中川 和彦