知っておきたい感染症関連用語集
クラスター
本来の意味は「集団」や「群れ」でありウイルスの感染においては「感染者の集団」や「集団感染」などを指す言葉として使われます。現時点では同一の場において、5人以上の感染者の接触歴等が明らかになっていることがクラスターの目安とされています。
潜伏期間
病原体に感染してから初発症状が発現するまでの期間を指します。病原体によって異なりますが、新型コロナウイルスでは平均5.2日と言われています。この期間も人に感染する可能性があります。
抗原検査
ウイルスや細菌など、抗原の有無を確認する検査です。抗原とは、ヒトの体にとって異物となるものを指します。抗原検査を行うことで、その人が特定のウイルスや細菌に罹患しているかどうかが分かります。新型コロナウイルスでは、口や鼻(鼻咽頭)に綿棒を入れ粘液をこすり取る「鼻咽頭ぬぐい液検査」があります。30分程度で判定できますが、感染者の一部が陰性と出てしまう(偽陰性)可能性があります。
抗体検査
過去に特定のウイルスや細菌に感染したかどうか確認するための検査です。ウイルスや細菌などの異物が体内に侵入したときに、それに対抗するために作られるタンパク質を抗体(免疫)と言います。抗原に合わせて抗体が産生されるため、抗体を検査することでそれ以前にそのウイルスなどに罹患したことがあるかが分かります。血液検査や指先から少量の血液を採取して検査を行います。通常、抗体の産生には感染後2~3週間必要ですので過去の感染の有無を確認する検査なのですが、新型コロナウイルスの場合は、感染から症状が発症し受診まで2週間ほど経過していることが多いため、現在感染しているかどうか診断するのに役立つと考えられています。
PCR検査
Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の略で、ウイルスがもつ遺伝子を専用の液体に付けて増やすことでウイルスの有無を検出する検査です。新型コロナウイルスでは、口や鼻(鼻咽頭)の粘液を綿棒でこすり取る「鼻咽頭ぬぐい液検査」の他に唾液を採取する方法もあります。新型コロナウイルスでは少ないウイルス量でも測ることができる手法がとられ、迅速で精度の高い検査と考えられているため、新型コロナウイルスの診断に一番用いられています。
※この情報は令和2年9月19日時点のものです。
- 監修:
- 近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門 主任教授
中川 和彦 先生