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ロイシン(牛乳などの乳製品)をとろう
ロイシンは、筋肉を作る効果が高いといわれています1, 2)
人体の筋肉量は、同化作用と異化作用と呼ばれる働きが繰り返される中で決まります1)。同化作用とは、栄養素であるアミノ酸などから筋肉(たんぱく質)を合成(同化)する作用のことです。それとは逆に、筋肉を分解することを異化作用と呼び、空腹時などで自らの筋肉(たんぱく質)を分解(異化)し、エネルギーとして利用したりします。この同化と異化の速度が等しいとき、筋肉量は維持された状態となります。
ロイシンは、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、食事からとる必要がある必須アミノ酸※の一つです。また、筋たんぱく質の構成成分中で高い割合を占めるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンの総称)の中でも、最も同化を促進し、異化を抑制する効果があると考えられています1)。
※ 筋肉をつくるのに必要なアミノ酸のうち、食事で摂取する必要があるもののことです。対して、非必須アミノ酸は体内で合成できるものをいいます。
がん患者さんはがん悪液質などの影響で筋肉量が落ちやすいことが問題視されており、筋肉量が減少すると、身体を動かすことがおっくうになったり、倦怠感やだるさを感じる原因にもなります。ロイシンはがん患者さんの体重減少を防いだり、生活の質を維持する上で注目されている栄養素の一つです。
がんにかかった動物(ラット)を対象に行った実験では、ロイシンが豊富な餌(たんぱく質15%、ロイシン3%含有)を食べた群は、通常の餌(たんぱく質18%含有)を食べた群と比べて、
牛乳は、ロイシン以外の必須アミノ酸もバランスよく含む食品です
ロイシンは牛乳や乳製品のほか、卵、魚、大豆製品などに多く含まれています。牛乳はロイシン以外の必須アミノ酸もバランスよく含んでいますし3)、大量に使用するシチューやポタージュスープといったメニューもあります。もちろん、そのまま飲むこともできるので、冷蔵庫に1本常備しておくことをおすすめします。
- 文献:
-
- 1) Nicastro H et al. Amino Acids. 2011; 40: 287-300.
- 2) Gomes-Marcondes MC. Braz J Med Biol Res. 2003: 36: 1589-1594.
- 3) 新カラーチャート食品成分表(増補): 2017, 教育図書
- 監修:
-
- 愛媛大学医学部附属病院 栄養部
部長 利光 久美子 先生
- 愛媛大学医学部附属病院 栄養部
牛乳を使った簡単レシピ
■クリームシチュー 208kcal
[作り方]
- ① 鍋にAの半量を煮たて、じゃがいもとにんじんを固めにゆでる。
- ② 別の鍋に油とバターを熱し、玉ねぎを炒める。塩、こしょうをした鶏肉を加えて炒め、肉の色が変わったら残りのAを加える。蓋をして弱火で5分ほど煮る。
- ③ ②にB、①を加え、材料がやわらかくなるまで煮る。
- ④ ブロッコリーを入れてひと煮たちさせ、こしょうで味を調える。
鶏もも肉 (皮なし/一口大に切る) |
60g | |
---|---|---|
塩・こしょう | 各少々(塩0.1g) | |
じゃがいも(角切り) | 50g | |
にんじん(角切り) | 20g | |
玉ねぎ(角切り) | 60g | |
A | コンソメ | 小さじ2/3 |
水 | 1カップ | |
サラダ油 | 小さじ1/3 | |
バター | 小さじ1/3 | |
B | シチューの素(顆粒) | 大さじ2/5 |
牛乳 | 1/4カップ | |
ベイリーフ | 少々 | |
ブロッコリー(食べやすい大きさに切り、電子レンジで1分加熱する) | 30g | |
こしょう | 少々 |
■杏仁豆腐 185kcal
[作り方]
- ① 鍋に牛乳と水とゼラチンを入れて、火にかける。
- ② 沸騰直前で火を止め、生クリーム、砂糖を加え、よく混ぜて溶かす。
- ③ 粗熱がとれたら、型に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
- ④ ③が固まったら、食べやすく切って器に盛りつける。
アイスクリームにするときには、水の量を減らすと、濃厚なアイスクリームになります。
牛乳 | 45g |
---|---|
水 | 50cc |
粉ゼラチン (分量の水でふやかしておく) |
3g (小さじ1) |
生クリーム | 20cc (大さじ1と1/3) |
砂糖 | 15g (小さじ5) |
(2023年3月作成)