3.甲状腺にできる腫瘍1),2)について教えてください

甲状腺にできるがんは主に「乳頭がん」「濾胞がん」「低分化がん」「髄様がん」「未分化がん」の5つが挙げられます。

甲状腺にできるがん
乳頭がん
甲状腺がんの中でも最も多いがんです。悪性度は低く、リンパ節転移は多いですが、生命にかかわることは少ないがんです。ごく稀に未分化がんに変化することがあります。
濾胞がん
甲状腺がんの中でも2番目に多いがんです。悪性度が低いものが多いですが、血液の流れに乗って遠くの臓器に転移するものがあります。
未分化がん
悪性度が高く進行が速いことから、甲状腺周囲の臓器(反回神経、気管、食道など)への浸潤や全身の臓器への転移を起こしやすいという特徴があります。
髄様がん
髄様がんは分化がん(乳頭がんや濾胞がん)と比べて悪性度が高く、リンパ節や肺のほか、肝臓へ転移しやすいという特徴がみられます。
低分化がん
乳頭がん・濾胞がんに比べると転移や再発しやすい性質があります。乳頭がん・濾胞がんから低分化がんに変化したり、低分化がんから未分化がんに変化したりすることもあります。
  • 1)国立がん研究センターがん情報サービス「甲状腺がんについて」
    https://ganjoho.jp/public/cancer/thyroid/about.html, 2024年4月アクセス)
  • 2)日本内分泌外科学会・日本甲状腺病理学会 編:甲状腺癌取り扱い規約 第9版. 金原出版. P23-33.
監修:
日本医科大学大学院医学研究科
内分泌外科学分野
大学院教授 杉谷 巌 先生

(2024年5月作成)