BCAA(鶏肉)をとろう

BCAAは筋たんぱく質の構成成分の約35%を占めます1)

BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンの総称)は、筋肉の合成に関わる必須アミノ酸であり、筋たんぱく質の構成成分のうち約35%と高い割合を占めます1)。そのほか糖代謝の調整など多様な生理作用をもちます2)。本来、運動時のエネルギー源は筋肉に貯蔵している糖質や脂肪酸ですが、長時間の運動でエネルギー源が不足してくると、筋たんぱく質を分解してエネルギー源とするシステムが働き、筋肉の修復と合成がストップしてしまいます。そのため、運動量が多いアスリートなどはBCAAをあらかじめエネルギー源用としてとって筋肉の分解を抑えるほか、運動後も筋肉の修復と合成を促すためにとります。

■筋たんぱく質の構成成分
筋たんぱく質の構成成分

アミノ酸はたんぱく質の最小単位で、人の身体を構成するアミノ酸は20種類あります。このうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類は、身体の中で合成できないので、食事からとる必要があります。この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。

食事・栄養療法の効果は個人差が大きいため断定的なことはいえませんが、BCAAを強化した食事・栄養療法で腹腔内転移性腺がん患者さんのたんぱく質を合成する力が改善したり4)、肝細胞がんの治療でTACE(肝動脈化学塞栓術)を受けた患者さんがBCAAを強化した食事・栄養療法を実施した結果、術後の腹水やむくみといったつらい症状が軽減されたりといった報告がありました5)。食欲がないときもBCAAが豊富な食品を積極的に選ぶことをおすすめします。

高たんぱく質低脂肪な鶏肉は、アスリート御用達

BCAAが豊富な食品としては、まぐろ、かつお、あじ、さんまのほか、アスリートや筋トレマニア御用達の鶏肉があります。また、アスリート用や美容目的で市販されているBCAAのサプリメントなどを取り入れるのもよいでしょう。

文献:
  • 1) Harper AE et al. Ann Rev Nutr. 1984; 4: 409-454.
  • 2) 下村吉治. 日本栄養・食糧学会誌. 2012; 65(3): 97-103.
  • 3) Argilés JM et al. Nat Rev Cancer. 2014; 14(11): 754-762.
  • 4) Tayek JA et al. Cancer. 1986; 58(1): 147-157.
  • 5) Poon RT et al. Aliment Pharmacol Ther. 2004; 19(7): 779-788.
監修:
  • 愛媛大学医学部附属病院 栄養部
    部長 利光 久美子 先生

鶏肉を使った簡単レシピ

■鶏肉の治部煮じぶに 169kcal

鶏肉の治部煮

[作り方]

  • 鶏肉に片栗粉をまぶし、湯(分量外)に20~30秒入れて表面を固め、水にとってさます。
  • 鍋にAを入れて煮たて、①を入れる。にんじん、しいたけを加えて10分程度煮含める。
  • 器に盛り、小松菜を添えて煮汁をかける。
[材料1人分と下準備]
鶏もも肉
(皮なし/半分に切る)
80g
片栗粉 小さじ1と2/3
にんじん
(1cm幅に切りゆでる)
30g
しいたけ
(石づきを取りゆでる)
1枚
A だし汁 150cc
薄口しょうゆ 小さじ2/3
濃口しょうゆ 小さじ1/5弱
小さじ2/5
みりん 小さじ1/3
砂糖 小さじ1
小松菜
(下ゆでして5cm長さに切る)
50g

■鶏肉のマリネ 161kcal 塩分0.5g

鶏肉のマリネ

[作り方]

  • フライパンにオリーブ油を熱してAを焼く。両面に焼き色がついたら、酒を加えて蓋をし、蒸し焼きにする。火が通ったら取り出し、熱いうちにBに20分ほど漬ける。
  • ①のフライパンで玉ねぎ、きゅうり、黄パプリカを軽く炒めて取り出し、①に加える。
  • サニーレタスを皿に敷き、その上に②を盛る。
[材料1人分と下準備]
A
(下味をつける)
鶏むね肉
(皮なし/そぎ切り)
60g
塩・こしょう 各少々(塩0.1g)
小麦粉
大さじ2/3
オリーブ油 小さじ4/5
小さじ1/5
玉ねぎ
(5mm幅のスライス)
30g
きゅうり
(細切り)
20g
黄パプリカ
(細切り)
5g
B
(混ぜ合わせておく)
砂糖 少々
オリーブ油 小さじ4/5
大さじ2/5
薄口しょうゆ 小さじ1/5
濃口しょうゆ 小さじ1/5
こしょう 少々
小さじ2/5
サニーレタス 8g