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食欲に関連するホルモンや薬の影響で食欲が低下することもあります
脂肪細胞から出るレプチンが食欲を抑制
がん悪液質になると食欲が低下し、ほんの少しの食事量で満腹になってしまいます。また、食べられなくなると味覚に関係する亜鉛などの栄養素が不足するために、味覚や嗅覚の機能が低下し、甘みや苦みを感じにくくなることもあります。「食べたいのに食べられない」「食べ物を見るのも嫌」「少ししか食べられないので、家族や友人と一緒に食事をするのがつらい」という患者さんが少なくありません。
悪液質になると食欲が低下するのは、食欲を抑えるレプチンというホルモンが脂肪細胞から分泌され、逆に、食欲を亢進させるグレリンというホルモンの胃からの分泌が低下したり、作用が抑えられたりするからです。また、がんが引き起こす炎症によってリンパ球などから産生される炎症性サイトカインにもレプチンに似た作用があり、食欲低下を招きます。こういった食欲に関連する物質の作用で、食べたくても食べられなくなってしまうのです。
「がん悪液質ハンドブック」日本がんサポーティブケア学会
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治療や薬の副作用、精神的な要因も影響
腫瘍が頭頸部や消化管にあるために食物が摂取しにくくなることもあります。胃がんで胃の一部、または全部を切除した場合には、グレリンが減少する、あるいは分泌されなくなって食欲が低下します。一方、抗がん剤などの副作用で、口内炎、吐き気・嘔吐、味覚障害、嗅覚障害などが生じると食欲不振につながります。倦怠感や体の痛みが強いために、食欲が低下してしまう人もいます。
さらに、がんの告知や再発したことによるショックなどから「うつ状態」になり、食事が喉を通らなくなっている人もいます。うつ状態になっているときには、自分から「食べたくない」「何もしたくない」などと訴えることは少ないので、家族や周囲の人が異変に気づくことが大切です。
- 監修:
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- 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学
教授 髙山浩一先生
- 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学