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がん悪液質にもステージがあります
2011年にEPCRCが決めた国際コンセンサス基準では、①②③のいずれかに当てはまると、「がん悪液質」と診断されます。日本でもこの基準をもとに、がん悪液質かどうかを診断しています。
EPCRCによるがん悪液質の診断基準(2011年)
- ①過去6か月間の体重減少が5%超
- ②体格指数(BMI)が20未満で体重減少が2%超
- ③サルコペニア*で体重減少が2%超
のいずれかに当てはまるとがん悪液質と診断される
*DXA法、BIA法、CTなどによって診断
「がん悪液質ハンドブック」日本がんサポーティブケア学会 を参考に作成
前悪液質の段階で治療を
がん悪液質には、進行度を表す3つのステージがあります。「前悪液質」は、悪液質と診断するほどの状態ではないものの、体重減少や食欲不振、代謝異常が起こり始めている段階です。
前悪液質、悪液質では治療をすれば栄養状態や代謝異常が改善することもありますが、「不応性悪液質」に進行すると抗がん剤治療も難しくなり、緩和治療が中心になります。患者さん自身が自分らしい生活を続け、がんの治療を受け続けるためにも、できるだけ前悪液質の段階で、栄養療法、運動療法、心理療法などを組み合わせた集学的な治療を始め、急激な体重減少を防ぐことが重要です。
EPCRCによるがん悪液質のステージ分類(2011年)
ステージ
前悪液質
悪液質
不応性悪液質
治療
栄養療法、運動療法、心理療法、薬物療法など集学的な早期の治療が必要
緩和的な治療が主体
特徴
- 過去6か月間の体重減少が5%以下
- 食欲不振や代謝異常がみられる
- EPCRCによるがん悪液質の診断基準(2011年)のいずれかに当てはまる
- 食べる量が減っている、あるいは全身性の炎症を伴う
- 悪液質の症状に加えて、体内のタンパク質や脂質、糖質などの分解が進み、抗がん剤治療ができない状態
- 全身状態を示すパフォーマンス・ステータス(PS)が下がっている(WHOの基準で3または4)
- 予測される生存期間が3か月未満
ステージ
不応性悪液質
治療
緩和的な治療が主体
特徴
- 悪液質の症状に加えて、体内のタンパク質や脂質、糖質などの分解が進み、抗がん剤治療ができない状態
- 全身状態を示すパフォーマンス・ステータス(PS)が下がっている(WHOの基準で3または4)
- 予測される生存期間が3か月未満
「がん悪液質ハンドブック」日本がんサポーティブケア学会 を参考に作成
パフォーマンス・ステータス(全身状態:PS)
- PS 0
- 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限なく行える
- PS 1
- 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる
例:軽い家事、事務作業 - PS 2
- 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
- PS 3
- 自分の身の回りの限られたことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
- PS 4
- 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
米国の臨床試験グループECOG のPSの日本語訳を参照。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)ホームページ(http://www.jcog.jp/)より作成。
ステージ分類の表内WHOのPSの基準とほぼ同じ。
- 監修:
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- 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学
教授 髙山浩一先生
- 京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学