がん悪液質と「食べられない」ことの関係
普通の「食べたくない」や「筋肉が落ちた」とは異なります
がん悪液質(あくえきしつ)の症状は、主にがん細胞がつくり出す「サイトカイン」という物質によって、食欲が抑えられて「食べられない」状態になります。また、このサイトカインによって筋肉が減ったり、何もしなくてもエネルギーが消費されてしまい、体重が減ってきたりします。さらに、これを放っておくと、がんの周りの健康な細胞からもサイトカインが放出されるようになり、ますます悪くなっていくことがあります。
普通の病気のときなどに感じる一時的な「食べたくない」という症状や、運動不足で「筋肉が落ちた」という状態とは異なるので、できるだけ早く気づいて、治療を開始することが大切です。
監修:
京都府立医科大学 呼吸器内科教授 髙山浩一先生
各症状、その対策については詳しくはこちら
すべてのがんで悪液質になる可能性があります
がん悪液質はがんの種類によって異なりますが、進行がんの患者さんの50~80%にみられます1)。がん悪液質で自覚できる主な症状として「食欲不振(食欲低下)」と「体重の減少」がありますので、おかしいと感じたら、積極的に医療者に相談しましょう。
- 参考:
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- がん悪液質:機序と治療の進歩, 2018年:日本語版監訳 日本がんサポーティブケア学会 Cachexia部会, 内藤立暁
- がん悪液質ハンドブック—「がん悪液質:機序と治療の進歩」を臨床に役立てるために, 2019年:監修 日本がんサポーティブケア学会, 内藤立暁 他
- 引用:
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- 1)Argilés JM, et al. Nat Rev Cancer 2014; 14(11): 754-762.
(2024年6月作成)