体重減少への対策

こんな症状

  • 体重が減る
  • 筋肉が減る
  • 食欲がなくなる
  • 食事の量が減る  など
発現時期
がんと診断された時から
体重減少への対策

がんと診断を受けた人のうちのおよそ半数1)が、体重減少を自覚しているとされています。
また、体重減少はがんの種類やがんの進み具合と密接に関係することもわかっています。
がん患者さんの体重が減る理由としては、なんらかの原因(表1参照)で食欲低下が起こり、食べられなくなることが考えられます。また、がん悪液質あくえきしつも関係しています(詳しくは下記【コラム】「がん悪液質(あくえきしつ)」とは 参照)。

体重が減少すると、治療による副作用の頻度が高くなったり、がんの進行が早まることや、感染症のリスクが増えることもわかっています。
体重が減ってきたと気になったら、放っておかず、減ってきた原因をしっかり把握し、予防や対策をとることが大切です。

表1:「食事がとれなくなる」主な原因

  1. 痛みや不快感などによる体調不良
  2. 増殖したがんによる食道や胃、大腸などへの圧迫
  3. 抗がん剤治療の副作用
  4. 食道や胃の手術による消化管の障害
  5. 放射線療法による食事量の減少
  6. 精神的なストレス
    など
参考:田村和夫 他:がん患者の症状 まるわかりBOOK, 照林社, 2018年
日本がん看護学会監修:がん治療と食事(治療中の食べるよろこびを支える援助), 医学書院, 2015年

【コラム】「がん悪液質(あくえきしつ)」とは

がんになると、食欲不振や体重減少などが起こりますが、原因の一つにがん悪液質があります。がん悪液質では主にがんがつくり出す「サイトカイン」という物質によって、たんぱく質、炭水化物、脂肪などの代謝に異常が起こります。その結果、筋肉量や脂肪量が減少することで体重が減ってきます。

体重減少を防ぐための工夫

  • 体重をこまめに測り、続けて体重が減っている場合は、医療者に伝えましょう。
  • 食べたいと思った時にすぐに食べられるものを用意しましょう。
  • 食事のしかたやタイミングについて、家族で話し合いましょう。
  • 気分転換をはかり、ストレスをため込まないようにしましょう。
  • 食欲が出ない時は無理に食べようとせず、医療者に相談しましょう。
  • 口腔ケアをしっかり行い、口内炎などもしっかり治療しましょう。
体重減少を防ぐための工夫
参考
  • 田村和夫 他:がん患者の症状 まるわかりBOOK, 照林社, 2018年
  • 日本緩和医療学会編:専門家をめざす人のための緩和医療学 改訂第2版, 南江堂, 2019年
  • 日本がん看護学会監修:がん治療と食事(治療中の食べるよろこびを支える援助), 医学書院, 2015年
  • 丸山道生:癌と臨床栄養2版, 日本医事新報社, 2016年
引用
  • 1)Fearon KC, Eur J Cancer. 2008; 44(8): 1124-1132.
監修:
京都府立医科大学 呼吸器内科
教授 髙山浩一先生

(2023年4月作成)