治療

外見の変化
〜48歳男性 肺がんの場合〜

Xさん:48歳 男性 非小細胞肺がん・ステージⅡa
会社員。妻と大学生の長女、中学生の長男と四人暮らし。

職場の健診で肺がんが見つかり、肺を切除。現在は抗がん剤治療を受けています。

48歳男性

「髪がごっそり抜けて、男泣きしてしまいました」

管理職として仕事をバリバリこなしていたXさん。がんの告知はショックでしたが、「今はがん治療も進歩している。きちんと治療に取り組めば治る!」と、気持ちをポジティブに切り替えました。術後は予定通りに復職もできたのですが、術後の抗がん剤治療に伴う脱毛が思いのほか堪(こた)えたとのことです。

「抗がん剤の副作用で髪がごっそり抜けたときは、子どもの前にもかかわらず泣いてしまいました。髪の次は眉、まつ毛も抜けて一目で病人だとわかってしまう。取引先から“もう先がない人だ”と見限られると思いました」(Xさん)。Xさんは人目を避けるようになり、休職したいと口にするようになりました。

国立がん研究センター病院を受診した「男性がん患者949名」を対象に行われたアンケート調査(有効回答823名)では、外見の変化を経験した方は84.9%でした。そのうち65歳未満の働く患者さんの12.5%は外見の変化による「社会的な困難」を強く感じ、そのうち74.1%が「外見を今まで通り装うこと(以前と同じように見せること)が重要だと思う」と回答しました1)。男性は女性とはちょっと違った意味で「見た目競争」に巻き込まれているのかもしれません。

ウィッグを試してみませんか?

脱毛は一目でわかるため、常に他人の視線にさらされることも辛さに拍車をかけてしまうようです。そんな現実からちょっと距離を取るには、ウィッグ(かつら)を使うのも一つの手段です。

以前の自分と同じ髪型に調整してもらう、思い切った髪型にチャレンジしてみる、いや、自分は「帽子」でいいや、と開き直る。何が似合うか、家族や友人に聞いてみるのもよいでしょう。興味本位でうわさをする人たちはどこにでもいますが、あなた自身が大切に思っている人たちは案外、あなたの見た目には興味がないことがわかり拍子抜けするかもしれません。

Xさんの気持ちを支えたのは、アイブロウ・ペンシル(いわゆる眉墨のことです)で眉毛を描いてくれた娘さんの一言、「若はげってことにして、スキンヘッドでもイイんじゃない?スキンヘッドでかっこいい芸能人もいるよね」でした。今は会社にいるときだけウィッグをつけて気楽に過ごしているそうです。

ウィッグ(かつら)を使う

男性向けのアピアランス(外見)ケアのガイドブックもあります

アピアランス(外見)ケアについては、徐々にその重要性が浸透しつつある段階です。詳しく知りたい時は医療者やがん相談支援センターに相談しましょう。なお、男性患者さん向けのアピアランスケアのガイドブック「NO HOW TO(ノーハウツ-)」が、国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センターのHP(2023年2月21日閲覧、https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/appearance/080/index.html)からダウンロードできますので、そちらも参考にしてください。

1)Nozawa K et al. Jpn J Clin Oncol. 2017;47(8):720-727
監修:
国立がん研究センター東病院 精神腫瘍科
科長 小川 朝生 先生

(2023年4月作成)

外見の変化