「妻に八つ当たりしてしまった」
悪性中皮腫は肺を包む膜や、おなかの内側を覆う膜などに並んでいる中皮細胞から発生するがんのことで、建材のアスベスト(石綿)を吸い込んだ方で発症しやすいといわれています1)。アスベストにさらされた(曝露(ばくろ))時期から悪性中皮腫を発症するまでの潜伏期間は平均40年ほどといわれており、1970〜1980年代までアスベストが使用されてきたことを考えると2020年代後半に発症のピークを迎えると考えられています1, 2)。
Zさんは「悪性胸膜中皮腫?アスベスト?」と疑問符だらけだったそうです。「建築現場で働いたこともないし、心当たりが全くないんです。それに、息子がインターネットで色々と情報を調べたら、医師がいうとおり予後(これから病気が良くなる可能性)は非常に厳しいことがわかり、絶望して妻にきつく当たってしまいました」(Zさん)。このときは、検査入院に付き添った奥さんの様子がおかしいことに気がついた看護師さんが主治医に告げてくれたため、主治医が「レスパイトケア※」の意味も含めて、Zさんの入院治療を勧めてくれました。おかげで、Zさんご夫妻はそれぞれに一息つくことができました。
※レスパイトケア:介護者が休息をとるために、患者さんや被介護者を一時的に預かる援助サービスを指します。介護保険で利用できるショートステイや短期入院(レスパイト入院など)もこれに当てはまります。