がんに伴う体と心の痛みを和らげ、生活やその人らしさを大切にする治療です。
がんの療養中は、痛みやだるさ、息苦しさ、といった体の不調が日常生活を妨げることがあります。がん医療における緩和療法とは、がんに伴う体と心の痛みを和らげ、生活やその人らしさを大切にする治療法です。
たとえば、呼吸が苦しかったり、胸の痛みがある場合は、酸素吸入や鎮痛薬などを用いて対処します。がんに伴う痛みの軽減を目的に放射線療法が行われることもあります。
緩和療法は、患者さんがどのような病状であっても、どのような時期で
あっても受けることができます。特に病気の進行が早い悪性胸膜中皮腫の場合は、治療と並行して早い段階から緩和ケアを始めることが勧められます。
緩和療法について話を聞きたいときは、担当医や看護師に相談してください。
日本肺癌学会編: 患者さんのための肺がんガイドブック2022年版、WEB版
国立がん研究センター がん情報サービス「緩和ケア」
特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和ケア.net「患者さん・ご家族等一般の方へ」
胸水に対する治療について
- 悪性胸膜中皮腫では、胸水が大量に溜まることから、圧迫感や呼吸困難などの症状が出現しやすいことが知られています。
こうした胸水による症状に対しては、専用の管(ドレーン)を入れて胸水を排出させて、呼吸を楽にします。
- さらに、胸水が溜まらないようにするために、同じ管から薬(癒着剤)を注入して肺と胸膜を癒着させる「胸膜癒着術」が行われることがあります。
胸膜癒着術
(イメージ図)
日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2022年版, WEB版
やさしイイ呼吸器教室(http://tnagao.sblo.jp/article/175366719.html)より改変
- 監修:
- 独立行政法人 国立病院機構 山口宇部医療センター
内科系診療部長 青江 啓介 先生