7放射線療法について

放射線療法は、どのような治療ですか?

高エネルギーのX線などを使ってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑える治療法です。胸膜肺全摘術(EPP)を受けた方で全身状態が良好な患者さんに検討されます。

悪性胸膜中皮腫の放射線療法は、手術後に残っているがん細胞を消失させることを目的とした補助療法として行われます。
対象は、「胸膜肺全摘術(EPP)」を受けた方のうち、術後の全身状態が良好な場合とされています。
高エネルギーのX 線を、がんが残っている可能性がある範囲に照射します。1回の照射にかかる時間は数分程度で、痛みはありません。
通常、放射線療法は、決められた治療計画にしたがって一定期間続けて治療を受けることが原則です。しかし、患者さんの術後の状態や副作用の程度によっては、照射量を減らしたり治療期間を短縮することもあります。
治療スケジュールなど詳しいことは、担当の放射線医によく確認されるとよいでしょう。

放射線療法で治療中の患者さんのイラスト
日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2022年版, WEB版
国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療の実際」

放射線療法の主な副作用

放射線療法の治療中、または治療後に、次のような副作用が生じることがあります。多くは皮膚の変化など一時的な症状ですが、放射線性の肺炎などのように、重症化すると危険な症状が起こる場合もあります。症状が重い場合や長引く場合は、担当医に相談してください。

主な副作用(治療中・治療後)
  • 皮膚の変化(赤くなる、ヒリヒリする、色素沈着、など)
  • 全身的な症状(疲労感、だるさ、食欲不振、など)
  • 放射線性の肺炎(咳や痰の増加、微熱、息切れなど)
  • 放射線性の食道炎(固形物の通りが悪くなる、胸焼け、痛み)など
放射線療法中のケアと注意点
  • 摩擦まさつなどの刺激を避けることが大切です。照射した部位をゴシゴシこすらないようにしましょう。
  • かゆみやヒリヒリした感じがある場合は、冷たいタオルなどで冷やすと症状が軽快することがあります。
  • 治療中に疲労感を経験することがあるため、十分な休養を取るようにすることが大切です。
  • 38℃以上の発熱がある場合は医師に連絡しましょう。
  • その他、気になる症状がある場合は、放射線療法のスタッフにご相談ください。
看護師
国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療の実際」
監修:
独立行政法人 国立病院機構 山口宇部医療センター
内科系診療部長 青江 啓介 先生

(2023年6月作成)