4悪性胸膜中皮腫の検査と診断

どんな検査が必要ですか?

問診と診察、画像検査に加え、生検による病理組織検査で診断を確定します。

まずは、職業歴や居住歴、家族歴などをよく伺って、アスベストの粉塵にさらされた可能性があるかを確認します。さらに、胸部X線やCTなどの画像検査で、がんを示す所見がないかを調べます。悪性胸膜中皮腫では、多くの場合、胸水が溜まっていることが診断のきっかけとなります。胸水がある場合は、胸水中に含まれる細胞の状態を調べて診断の参考とします。最終的には、疑わしい組織の一部を「生検」で採取し、病理組織検査で詳しく調べたうえで病期と診断を確定します。

説明する医師と話を聴く患者さん

確定診断に必要な検査

診断の流れ
日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2022年版, WEB版 より作成
インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肺がん 改訂5版, p42, 医薬ジャーナル社, 2017

主な検査法

問診これまでの職業歴や居住歴、家族歴などからアスベスト曝露の可能性があるかを確認します。
画像検査
(胸部X線・CT検査・PET検査など)
胸部X線検査では、胸部の状態を調べて異常がないかを確認します。胸部造影CT検査やPET検査では、胸部の状態とがんの広がりの程度などを確認します。
胸水検査
(胸水細胞検査)
胸水中に剥がれた細胞を調べて、がん細胞の有無などを確認します。
生検
(病理組織検査)
胸膜にある疑わしい組織の一部を採取して、がん細胞の有無や組織型などを病理医が詳しく調べます。「胸腔鏡下検査」「開胸術」などの方法があり、局所麻酔または全身麻酔のもとで行われます。
日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2022年版, WEB版 より作成
国立がん研究センター 希少がんセンター「悪性胸膜中皮腫」
CT検査
CT検査(イメージ図)
監修:
独立行政法人 国立病院機構 山口宇部医療センター
内科系診療部長 青江 啓介 先生

(2023年6月作成)