1胸膜中皮腫について

胸膜中皮腫とはどんな病気ですか?

胸膜の中皮細胞から発生する悪性の腫瘍(がん)です。
ほとんどが、アスベスト(石綿いしわた)の曝露ばくろによって生じます。

肺は、「胸膜」と呼ばれる薄い膜に包まれています。この胸膜の表面にある中皮細胞が〝がん化〟して生じるのが「胸膜中皮腫」です。
胸膜中皮腫は、そのほとんどが、アスベストの粉塵ふんじんを吸い込んだこと(曝露)によって起こります(胸膜中皮腫はどのような人に多いですか?をご参照ください。)。
主な症状としては、胸の痛みや咳のほか、胸水きょうすいが大量に溜まることで起こる呼吸困難や圧迫感などがあげられます。ただし、初期のうちは無症状で早期発見が難しい病気です。健診による胸部X線画像で、異常な画像所見が見つかったことで偶然発見されることもあります。

これまで「悪性胸膜中皮腫」と呼ばれていましたが、最近の医学的な分類の見直しにより、現在は「胸膜中皮腫」という名称が使われています。

胸膜中皮腫の主な症状

悪性胸膜中皮腫の主な症状
インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肺がん 改訂5版, p42, 医薬ジャーナル社, 2017
胸膜中皮腫診療ハンドブック, p36-37, 中外医学社, 2007
日本石綿・中皮腫学会、日本肺癌学会編:中皮腫瘍取扱い規約第2版, p67, 金原出版, 2025
監修:
医療法人 緑十字会 笠岡中央病院
副院長 青江 啓介 先生

(2025年8月作成)