1悪性胸膜中皮腫について
悪性胸膜中皮腫はどのような人に多いですか?
以前、アスベスト(石綿)を扱う職業に従事していた方や、アスベストを吸い込む環境にいた方がほとんどです。
アスベストは、鉱石が繊維状に変形してできた天然の鉱物繊維で、石綿とも呼ばれています。綿状の性質があり軽く加工しやすいうえ、熱や薬品にも強いことから、建設資材をはじめ、様々な分野で使われてきました。しかし、アスベスト繊維を吸い込むと、数十年後に中皮腫や肺がん、アスベスト肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかとなったため、現在ではその使用が全面的に禁止されています。
悪性胸膜中皮腫は、アスベストの曝露から20~50年と非常に長い潜伏期間を経て発症するのが特徴です。このため、かつてアスベストを扱う職業に就いていた方や、アスベストを扱う作業現場の近くに住んでいた方なども、発症する危険が高いことが知られています。
アスベスト曝露と悪性胸膜中皮腫の発症

国立がん研究センター がん情報サービス「悪性胸膜中皮腫」
悪性胸膜中皮腫を引き起こすアスベスト
私たちが異物を吸い込んでも、通常は、咳や痰、粘膜の働きなどによって異物は排出されます。ところが、アスベスト繊維は、髪の毛の5,000分の1程度と極めて細く、飛散すると空気中に浮遊しやすいうえ、丈夫で変化しにくく分解もされません。このため、呼吸とともに吸引されると肺胞に留まり、胸膜を慢性的に刺激し続けます。こうした長期に続く慢性的な刺激が、がんを発生させる要因になると考えられています。
アスベストにさらされる可能性が高い方
アスベストへの曝露は、職業として直接アスベストを扱う職業に従事していた方のほか、アスベストを扱う作業所の近くで働いていた方、近くに住んでいた方なども可能性があります。
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アスベストを扱う職業に従事していた方(例)
- ・港湾労働に従事していた方
- ・建設業の方
(アスベストの吹き付け・解体工事など) - ・電気配線業の方 など
- アスベストを扱う作業所の近くで働いていた方
- アスベストを扱う作業所の近くに住んでいた方 など

厚生労働省のホームページに詳しい解説があります。
石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ
厚生労働省ホームページ「アスベスト(石綿)情報」
- 監修:
- 独立行政法人 国立病院機構 山口宇部医療センター
内科系診療部長 青江 啓介 先生