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治療

副作用の影響
〜48歳女性 卵巣がんの場合〜

Rさん:48歳 女性 卵巣がん・ステージⅢ
契約社員。ステージⅢの卵巣がんと診断され、手術後、再発を抑えるために抗がん剤治療を受けました。
夫と子ども(20歳、22歳)の四人暮らし。

Rさんはお腹の張りとトイレが近くなったことから更年期障害を疑い、近隣のレディースクリニックを受診したところ、すぐに県立がんセンターを紹介され、卵巣がんと診断されました。卵巣がんは自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しいがんの一つです。Rさんも診断後に開腹手術を行い、がん病巣の広がりからステージⅢだとわかりました。

48歳女性

抗がん剤治療のたびに繰り返される副作用

卵巣がんのステージⅢの標準治療は、がん化した組織をできるだけ手術で取り除き、その後に抗がん剤治療を行います1)。インターネットなどの情報で、Rさんは卵巣がんのステージⅢは生存率があまりよくないことを知りました。「不思議ですけれど“死ぬかも”とは思わなかったですね。むしろ“死んでたまるか!”と。それよりも、体験談で読んだ脱毛やひどい倦怠感など抗がん剤の副作用の方が怖かった」(Rさん)。

Rさんは主治医や看護師に不安を打ち明けたところ、最近の支持療法(抗がん剤を投与する際に、予想される副作用を減らすために行う治療を指します)はとても進化していること、ネットの体験談がすべての人に当てはまるわけではないことなどを聞き、覚悟を決めたと言います。

抗がん剤治療は、従来は2泊3日程度の入院で行われていましたが、近年は外来通院で行われるケースが増えています。外来での抗がん剤治療は慣れ親しんだ家で療養できる半面、急な体調の変化に対応できないなど、不安を感じる方も少なくありません。

Rさんは「家族と共にいたいから」と外来通院での抗がん剤治療を選択しました。ところが思った以上に強い副作用が出てしまったのです。「吐き気がひどく、胃を取り出したいほどでした。それに投与12日目に39度の熱が出て、“やっぱり”と治療に対する恐怖がぶり返しました」(Rさん)。

それでもRさんは夫や子ども達に励まされて2回目の治療を受けたのですが、やはり副作用が出たため「治療のたびに繰り返し副作用に苦しむのか」という考えが頭を離れず眠れなくなりました。

副作用の多くは、治療終了後に治まります

抗がん剤の投与は、何クール(コース)というように、間に休憩を挟みながら効果を確認して何度か繰り返し行われます。ようやくダメージから回復したのに、また副作用で苦しむのかと思うと気が滅入ってしまいますね。3回、4回、5回と投与スケジュールが続くうちに、辛い副作用が永遠に続くような気持ちになっても不思議はありません。中にはカレンダーの「治療日」の印を見ただけで、吐いてしまったという方もいます。

しかし、副作用の多くは治療が終われば次第に治まってきます。治療の真っ最中は信じられないかもしれませんが、吐き気や食欲不振、倦怠感などは治療が終わってしばらくすれば回復します2)。脱毛も数ヵ月〜1年程度で回復していくでしょう2)

とは言うものの、辛い副作用に耐え続ける必要はありません。どうか主治医や看護師、精神腫瘍医(サイコオンコロジスト)、緩和ケアチームのスタッフに話をしてみてください。例えば、治療の前の日から副作用のことを考えて吐き気を覚えるような「予期不安」の状態にある方には、抗不安薬が役立つ場合があります。ときには治療を一時的に中断して副作用の症状や気持ちの回復を図ることもあるでしょう。

そしてもし、治療を中断したとしても「私はダメな患者だ」と自分自身を責めないでください。副作用やその他の理由で治療を中断している患者さんは、決してあなただけではありません。

今は抗がん剤の種類や治療手段がいくつもある時代です。抗がん剤の種類や投与量を変更するほか、副作用が出るタイミングや対処法などを教えてもらいながら、医療スタッフと共に心身への負担が少ない方法を考えていきましょう。また、医療者がそばにいて副作用にすぐに対応してくれる入院治療を希望してみるのもよいかもしれません。

副作用の影響~48歳女~
1)国立がん研究センターがん情報サービス 卵巣がん治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html
2)静岡県立静岡がん研究センター がん体験者の悩みQ&A 副作用がいつまで続くのか不安
https://www.scchr.jp/cancerqa/jyogen_4101622.html
監修:
国立がん研究センター東病院 精神腫瘍科
科長 小川 朝生 先生
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