11.治療法別の主な副作用について教えてください

免疫チェックポイント阻害薬

免疫力の増強により、皮膚や消化管、内分泌器官の障害など、他の薬剤ではみられない免疫反応を介した症状が現れることがあります。

特に注意が必要な副作用として、間質性肺疾患の発症が報告されています。間質性肺疾患の特徴的な症状は、息切れ、息苦しい、発熱、たんのない乾いた咳、疲労などです。
また、大腸炎や下垂体炎、1型糖尿病などの発症も報告されています。

免疫チェックポイント阻害薬の副作用は、治療開始後数ヵ月が多いものの、それより遅く現れたり、治療が終わってから現れたりすることがありますので、治療が終わった後も気になる症状があれば、医師に相談しましょう。

免疫チェックポイント阻害薬の副作用
国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」
皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025. 日皮会誌. 134(13): 3149-3265, 2024.

分子標的薬

併用療法の主な副作用には、発熱、疲労、吐き気などがあります。特に注意が必要な副作用としては、新たな皮膚がん、二次発がん、目の異常、心機能や肝機能の障害などが報告されています。

単独療法の主な副作用には、吐き気、下痢、疲労などがあります。特に注意が必要な副作用としては、新たな皮膚がん、二次発がん、目の異常、心機能や肝機能の障害などが報告されています。

抗がん剤

悪性黒色腫の治療で使用される抗がん剤の主な副作用

吐き気、嘔吐、肝臓・胆管系障害、血管痛などです。

抗がん剤の休薬や減量、症状を改善する薬や生活の工夫で乗り切れる副作用も多いです。

岡元るみ子編:がん化学療法副作用対策ハンドブック第4版, 羊土社, 2025

放射線療法

放射線を当てた部位の赤み、乾燥、かゆみ、びらん、だるさ、食欲の低下、吐き気などを感じることがあります。
頭部に照射した場合は、脳の浮腫(むくみ)による頭痛や吐き気、嘔吐などの症状や脱毛などが現れることがあります。

治療法ごとに発現する副作用は異なりますので、服用する薬剤や実施する治療法の副作用の詳細については医師や薬剤師、看護師に確認しましょう。

皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025. 日皮会誌. 134(13): 3149-3265, 2024.
国立がん研究センター 希少がんセンター「悪性黒色腫(メラノーマ)」
静岡がんセンター「 がん放射線治療の概要 4.放射線治療の副作用(有害事象)と対策」
監修:
医療法人医誠会 医誠会国際総合病院 副院長
皮膚科 主任部長 爲政 大幾 先生

(2025年7月作成)