5.悪性黒色腫の種類

悪性黒色腫は、見た目や顕微鏡で観察した組織の特徴などから大きく「末端黒子型まったんこくしがた黒色腫」「表在拡大型黒色腫」「結節型黒色腫」「悪性黒子型黒色腫」という4つの種類(病型)に分類されます。また、これら4病型の他に粘膜に発生する「粘膜黒色腫」を分類することもあります。
ただし、明確に分類できない場合もあります1)

末端黒子型黒色腫1)

足の裏、手のひら、手足の爪などの末端部に発生する黒色腫です。まず、形がはっきりせず、色調が単一でない褐色・黒褐色のシミができ、進行するとしこりや潰瘍かいようができます。爪に発生する場合は縦に黒い筋ができ、それが爪全体へ広がります。日本人に最も多い病型で、60歳代以降に多く発生します。

表在拡大型黒色腫1,2)

全身のあらゆる部位に発生します。境界が不鮮明で、少し盛り上がったシミとして現れ、色調は濃淡の混じったまだら状です。白人で最も多い病型ですが、日本人にも増えています。がんの成長は比較的ゆるやかです。また、BRAF遺伝子変異が多いことがわかっています。

結節型黒色腫1)

全身のあらゆる部位に発生します。黒色または濃淡の混じった結節(硬いしこり)ができますが、初期にはしこりの周囲にシミのような病変は生じません。40~50歳代に発生することが多く、がんの成長は速いのが特徴です。

悪性黒子型黒色腫1)

高齢者の顔面に多く発生します。境界がはっきりしないまだら状の平らなシミが現れ、長い年月をかけて大きく広がっていきます。日本人患者では最も少ない病型です。

粘膜黒色腫3-5)

口腔、鼻腔、ちつ、外陰部、直腸、肛門などの粘膜に発生します。白人に比べると日本人での発生率は比較的高いといわれています。

写真:爲政 大幾 先生 提供
1)国立がん研究センター がん情報サービス「悪性黒色腫(皮膚)」
2)信州医学雑誌, 55(1), p3-9, 2007
3)皮膚の悪性腫瘍, p30, 中山書店, 2014
4)日本皮膚悪性腫瘍学会「皮膚癌について」: 250-256,2013
5)悪性黒色腫の組織学的分類, Nippon Rinsho. 71(Suppl)
監修:
医療法人医誠会 医誠会国際総合病院 皮膚科 主任部長
爲政 大幾 先生

(2024年1月作成)