私たちの体は約60~100兆個の細胞からできていて、細胞の複製を正しく調整しているのが遺伝子です。
遺伝子の役割は、細胞を増やしたり、増えるのを抑えたり、命令を正しく伝えて、細胞内の調整を行うことです。
しかし、何らかの原因で遺伝子に傷がつくと、命令をうまく伝達できなくなって細胞が増え続け、がんの発生・進行につながります。
このような遺伝子の変化を「遺伝子変異」といい、悪性黒色腫で最も多くみられるのが「BRAF遺伝子変異」です。
悪性黒色腫で明らかになっている遺伝子変異は、BRAF遺伝子変異、NRAS遺伝子変異、KIT遺伝子変異などです。
この中で最も多いのはBRAF遺伝子変異のある患者さんで、日本人の悪性黒色腫患者さんを対象にした調査では30.4%を占めました。
また、 BRAF遺伝子変異の発現部位として多かったのは、頭部(4/5例)、体幹(18/25例)、四肢(17/30例)、頸部(4/9例)などでした1)。
このBRAF遺伝子変異に対しては分子標的薬の治療効果が良好であることがわかっています。
1)Sakaizawa K et al: J Dermatol Sci. 80(1): 33-37, 2015