あなたと一緒に、がんと向き合う
再発

ご家族への周知
~66歳男性 悪性黒色腫の脳転移の場合~

IIさん:66歳 男性 悪性黒色腫の脳転移
妻と二人年金暮らし。近隣に娘が嫁いでいる。

2年前に上腕の悪性黒色腫を切除したのですが、定期検診のMRI検査で脳転移が見つかりました。

66歳男性

「妻に心労をかけたくないので、再発はできる限り隠そうと思いました」

「“再発した場合は、包み隠さず本人に告知する”という申し合わせを主治医としていましたし、悪性黒色腫は転移しやすいと伺っていたので、意外にも冷静に受けとめることができました」(IIさん)。ただ、主治医から今後の治療方針など、ご家族にも同席いただいてお話ししたいと言われたときには、「家族に再発のことは内緒にしたい」と強く思い、動揺したそうです。

「今、妻の体調がよくないんですよね。はじめにがんが見つかったときは、しっかりした様子で入退院の手続きや手術のつきそいなどあれこれと対応してくれたのですが、僕が退院してからは“再発したらどうしよう”と不安が強くなったようで…。いつか言わなくてはいけないにしても、ギリギリまで隠しておきたいんですよ」(IIさん)。

できるだけ早くご家族に“再発”を伝えましょう

治療の終了時や転換点で、改めて不安を感じるご家族は珍しくありません。入院中や治療中は何か気がかりがあれば、すぐに医療者に相談できますが、経過観察になると家族が病院に行く機会は減ってしまうことが一因だと思われます。気に病みすぎて体調を崩される方もおられるでしょうし、そんなご家族に「再発」というショックを与えたくないと考えても不思議ではありません。

しかし、再発がんはときに厳しい経過をたどり、本人の希望とは無関係に急に病状が悪化することもありえます。IIさんの“隠し事”は、不意打ちに対応を迫られる状況を家族に強いてしまうかもしれません。伝えることを先延ばしにするほど、このリスクは大きくなっていきます。

また、病状が進行するとともに本人の意思や価値観をもっとも理解/確認できる立場にある家族が、本人に代わって意思決定をする場面も出てくるでしょう。ご家族があなたの真意を知らないまま、あなたの治療や療養について決定を下すことは、非常に大きな精神的負担となり、結果次第ではずっと後悔することになります。自分自身とご家族のために、できるだけ早く家族に再発と自分の考えを伝え、今後の治療方針などについて共有しておくとよいでしょう。また、家族に伝えることで、医療者も家族を支援しやすくなります。

とはいっても、各ご家庭の事情もあると思います。家族にどうしても伝えたくないことは何か(再発やそれ以外も)、その理由はなぜなのかを主治医や看護師、精神腫瘍医、心理士などと話し合いながら、家族への伝え方を考えていくとよいでしょう。

家族に相談
監修:
大阪国際がんセンター 心療・緩和科(精神腫瘍科)
部長 和田 信 先生
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