再発後の治療

再発後の治療とそのほかの選択肢
~皆さまへ~

再発・転移がんの治療は、局所再発と遠隔転移で異なります

再発・転移がんの治療は、局所再発(最初にがんが発生した臓器で再発すること)と遠隔転移(ほかの臓器や骨などにがん細胞が転移すること)で大きく異なります。
局所再発の場合は、初期治療と同じく手術や放射線照射と薬物療法を組み合わせ、がんを治す「根治」を目指すことが可能な場合もありますが、遠隔転移の場合は、1つの臓器だけに見つかったとしても体のあちこちに小さながん細胞が散らばっている可能性を踏まえて、全身に治療効果を及ぼす薬物療法を中心に、がん細胞の縮小や進行を抑えることを目指します1)

最新の薬や治療法を受けたいときは、治験に参加するという選択肢もあります

近年は抗がん剤や免疫系に作用する薬剤の開発が進み、保険診療で使える薬剤が増えてきました。そのため、最初にAという薬剤を使って効果があるうちはAの投与を続け、副作用がつらい、あるいは効果が低下してきた場合はBという薬剤に替え、再び効き目が落ちてきたらCという薬剤に切り替えるといった方法も採ることができるようになりました。

もし、まだ保険診療として認められていない最新の薬や治療法を受けたいときは、これらの効果を調べるために行う臨床試験(治験)に参加するという選択肢もあります。治験に参加するには条件がありますし、メリットもデメリットもあるので、関心がある場合は主治医に相談してください。また、国立がん研究センターがん情報サービスのHPでは、治験の基礎知識を身に付けたり、国内で行われている治験を検索したりすることができます。

国立がん研究センター. がん情報サービス 臨床試験について
(2023年2月21日閲覧、https://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/index.html

積極的な治療をしないという選択もあります

再発・転移がんはときに厳しい経過をたどることがあります。一昔前までは、患者さんに悪い見通しを伝えることは「タブー」でした。しかし近年は、患者さん本人の「知る権利」と「自己決定の権利」が尊重されるようになり、たとえ悪い見通しであっても患者さんに伝えるようになってきました。

こうした流れのなかで「残された時間を“病人”としてではなく、自分らしく過ごしたい」という思いから、積極的な治療を一切せず、緩和ケア(がんに伴う体と心の痛みを和らげるケア)を受けながらゆっくり過ごすという選択をする患者さんもいます。

「積極的な治療をしないのであれば、緩和ケア科のある病院へ転院してください」と告げる病院もあるかもしれません。患者さんからすると「見捨てられた」と感じることでしょう。しかし、悲観的にならないでください。自分自身の時間を大切にしたいときは、自宅で療養生活を送れるよう24時間体制でサポートしてくれる「在宅療養支援診療所(在支診)」を紹介してもらうのも一つの手です。在支診については、全国在宅療養支援医協会HPからも探すことができますし、詳しい説明も掲載されていますので参考にしてください。

全国在宅療養支援医協会. 会員リスト
(2023年2月21日閲覧、http://www.zaitakuiryo.or.jp/list/index.html

また、ホスピスという緩和ケアを専門的に行う施設で養生することもできます。ホスピスと聞くと、「終末期で寝たきりの状態」を想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく、最後のときをその人らしく暮らせるように支援する場所です。そのため、病院によっては庭付きのお部屋で、ガーデニングをしたり、ご家族が宿泊したりすることができるところもあります。なお、緩和ケアはがんと診断時から治療と同時に受けることができるので、痛みなどの不具合がある場合は主治医に伝えましょう。どれが自分に合っているのか迷う場合は、がん相談支援センターに相談するとよいでしょう。

再発・転移がんは患者さんの状態や症状の進行スピードに個人差があるので、これが正解という治療や対処はありません。何より大切なことは、患者さん自身が治療の目標をしっかりと決め、その目標に向かうには、どのような治療や対処が必要なのか、どこで受けるのが適切なのかを主治医と相談し、自身が納得のいく選択をすることなのだと思います。

主治医と相談し選択する
1) 国立がん研究センター がん情報サービス:再発がんの治療の目標と治療方法
(2023年2月21日閲覧、https://ganjoho.jp/public/support/saihatsu/pdf/chapter2_02.pdf
監修:
大阪国際がんセンター 心療・緩和科(精神腫瘍科)
部長 和田 信 先生

(2023年4月作成)

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