あなたと一緒に、がんと向き合う
再発

再発と抑うつ
~皆さまへ~

がんが再び大きくなったり、ほかの臓器に転移したりすることを「再発」といいます

「再発」は手術で取り切れていなかった目に見えないぐらい小さながん細胞が大きくなったり、放射線治療や抗がん剤治療で小さくなったがんが再び大きくなったりすることをいいます。また、ほかの臓器にがん細胞が「転移」することも「再発」に含まれます。血液やリンパのがんなどは、再発ではなく「再燃(さいねん)」といいます。

再発を告げられたとき、ほぼ例外なく強いダメージを受けます

再発がわかったとき、ほぼ例外なく無力感や喪失感、怒り、悲しみといった感情の嵐に襲われます。「最初に“がん”と告知されたとき以上にショックが大きかった」、「あんなに治療を頑張ったのに、なぜ?という怒りで一杯になった」などの大きな精神的ダメージを受け、やりきれない気持ちを抱えて苦しむ方がほとんどです。つらさのあまり胸が塞がり、息もできないような気持ちのときもあるでしょう。

そのように心がつらいときは我慢をせず、自分の気持ちを言葉にして吐き出してみましょう。話すことで思った以上にすっきりすると思います。がんという病気に対する怒りや医療者への不満といった口に出すのもはばかられるような、強い感情があふれ出たとしても、それは人間としてごく当たり前のことです。身近な家族や主治医、看護師に話しにくいときは、がん相談支援センターに連絡をとって胸の内を話しましょう。がん患者さんの心のケアを担う専門家であるサイコオンコロジスト(精神腫瘍医・心理士など)を主治医に紹介してもらうのもよいでしょう。医療者は再発による患者さんの心境をよく理解しているので、患者さんの気持ちを受けとめて的確に対応してくれます。

また、精神的ダメージから、「何も考えられない」「気がつくと涙を流している」「眠れない」「食欲がわかない」「だるくてしかたがない」といった抑うつ状態(うつ病)に陥る方も少なくありません。体に現れている症状を具体的に主治医に話すことも、とても大切です。主治医はその症状に適した対処(お薬での不眠解消やカウンセリングの紹介など)をしてくれます。

緩和ケアは終末期だけでなく、診断されたときから受けられます

再発の治療は、初発の治療と同じく「手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」「緩和ケア」などを組み合わせた治療を行います。緩和ケアとは、がんと診断されたときから始めてもよいもので、治療と並行してがんに伴って現れることがある痛みやだるさ、食欲不振などのつらい症状がある場合にその症状を緩和すると同時に、不安や悩みなどの心のつらさも対象にチームで治療をします。

緩和ケアチームメンバー

一方、「ターミナルケア」は終末期(ターミナル)に行われるケアのことで、治療よりも残された生活を心穏やかに過ごしてもらうように対応します。「ホスピスケア」は死にゆく人とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的としたケアをいいます。つまり、ターミナルケアとホスピスケアは終末期のためのケアを指しますが、緩和ケアは治療と並行して行うという違いがあります。なお、再発(転移)の診断後早期に緩和ケアを取り入れた患者さんは、取り入れなかった患者さんより生存期間が延長したという報告もあります1)。心や体がつらいときは、主治医に「緩和ケアを受けたい」と相談してください。

1) Temel JS et al. N Engl J Med. 2010; 363(8): 733-742.
監修:
大阪国際がんセンター 心療・緩和科(精神腫瘍科)
部長 和田 信 先生
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