AYA世代とは、15歳~39歳の思春期・若年成人世代のことをさします。
がんに関する正しい情報は、どうやって収集したらよいのでしょうか?
がんについて知りたいけど、怖くて検索ができません。
がん患者さんはすごく情報収集していて、病気に詳しい
イメージがありますが、何も調べないというのもありでしょうか?
周囲の人から、がんに効くという健康法や食べ物をすすめられたけど、
信じて大丈夫でしょうか?
がん情報リテラシーを高めることが一番です。
とはいっても、なかなか難しい面もありますので、どのような点に注意したらよいのかについてお答えします。
テレビや雑誌、インターネット…。がんに関する情報は、あちこちにあふれています。しかし、「がんに効く」「がんが治る」といった情報の中には、明確な根拠のないものも含まれています。自分に必要な情報を収集し、日々の治療や生活に生かしていくには、どのような点に注意したらよいのでしょうか。情報活用術について、がん研有明病院患者・家族支援部長の高野利実さんに答えてもらいました。
信頼できる情報を見極め、活用する力(がん情報リテラシー)を高める
現代社会には、多くの情報があふれています。それはがんにおいても例外ではありません。中には、がん患者さんの弱みにつけこむように、甘いささやきを意図的に行っている情報もあるようです。公的機関が情報の質を管理できるとよいのかもしれませんが、誰もが自由に情報発信できる時代にあって、それは現実的ではなく、患者さんや一般市民が、押し寄せる情報の波の中から適切な情報を見極め、それを活用する力(がん情報リテラシー)を高めることが求められています。
まずは、情報の根拠を見極めることが重要です。根拠が明記されていないものには注意が必要で、「○○大学の教授の意見」が根拠になっているものも、あやしいことが多いです。個人の意見ではなく、臨床試験の結果が根拠となっている方が信頼度の高い情報です。
「絶対」「奇跡的」「劇的」「画期的」といった言葉が使われている情報は疑った方がよいです。科学的な文章では、客観的な記載が求められ、このような言葉はまず使われません。これらの言葉からは、科学的な正しさよりも、お金もうけが目的となっていることが透けて見えます。保険適用となっていない高額な商品や治療も、あやしいと思った方がよいでしょう。
わらにもすがる思いで、飛びつかない
「わらにもすがる思い」になって、健康法やサプリメントに頼ってしまう患者さんが多く、販売業者は、そのような思いにつけこんで、巧みに宣伝してきます。「わら」が助けにならないように、民間療法ががんに効くことはまずないわけですが、それでもすがってしまうのです。
私からのアドバイスは、「けっして溺れているわけではなく、わらにすがりつく必要はない」ということです。あわてずに、自分のペースで泳いでいけばよく、それでも不安になってしまったら、担当医や看護師に相談してみましょう。
家族や知人など、周囲の人たちも、「何かをしてあげたい」という気持ちになって、いろいろとすすめてきます。立場上断りづらい場合もあると思いますが、「担当医からやめておくようにと言われたから」と言って、きっぱりと断るのがよいと思います。
自分で判断せず、医療者に相談しよう
健康食品について担当医に相談すると、「そんなものすぐにやめなさい」「効くわけがない」と頭ごなしに怒られたという話もよく聞きます。不安は増幅し、担当医よりも優しく魅力的な言葉を投げかけてくれる健康食品の広告にますますひかれていきます。そして、担当医には内緒で、健康食品に手を出すことになります。実際、こっそりと健康食品を使っている患者さんはけっこう多いと推測されています。原因不明の肝障害が起きて、健康食品を使っていたことが分かるようなケースもよくあります。安全に医療を行う上でも好ましい状況ではありませんので、やはり、担当医に相談してほしいと思います。担当医に言いにくい場合は、看護師や薬剤師に頼ってみるのがよいでしょう。わらにすがらなくても自分らしく過ごしていけるように、医療者とともに歩んでいけるのが理想です。