再発後の治療

再発、再々発への対応
~43歳女性 子宮頸がんの複数回再発の場合~

SSさん:43歳 女性 子宮頸がんの複数回再発
夫と息子の三人暮らし。専業主婦。

6年前の37歳で長男妊娠時に子宮頸がんがわかり、妊娠28週で帝王切開後に子宮全摘出術を受けました。その5年後に骨盤内に再発が認められたため、抗がん剤と放射線療法を受け、がんの進行を抑えていましたが、1年後に肺とリンパ節への再々発(遠隔転移)が見つかりました。

43歳女性

「再発のショックもあるが、また治療を受けるのがつらい」

「転移を告げられた瞬間、何も考えられなくなりました。再々発もショックでしたが、前回の抗がん剤治療で生じた吐き気や脱毛、だるさなどの副作用の記憶がよみがえり、“あんなことは二度と耐えられない”と思いました。しかし、息子はまだ6歳で親を必要とする年齢です。治療をしないという選択肢は端からありませんでした」(SSさん)。

抗がん剤の選択は、前回の副作用の出方などを考慮しながら少しでも穏やかに治療を完遂できるように考えられますが、副作用を完全に避けることは難しいかもしれません。SSさんは、治療で生じる副作用への不満を主治医に伝えることをためらったそうですが、思い切って伝えてみました。すると、抗がん剤治療の前にあらかじめ吐き気止めの薬を処方され、脱毛やだるさに対する日常生活の工夫も教えてもらえました。加えて、外来での化学療法中も頻繁に様子をみて対応してくれるとのことでした。

副作用への不満

「前回よりもずいぶんラクな状態で、これならがんばれると思えました」(SSさん)。

がん治療と共に支持療法を受けることができます

再発を繰り返すケースでは、以前の副作用の記憶が治療の妨げになることがあります。ただ現在は、治療の進歩と同時に治療と伴走する「支持療法」も格段に進化しています。支持療法とは主にがん治療の副作用による症状を軽くするために行うケアを指し、たとえば吐き気が出ることを事前に想定して予防薬を使ったり、貧血に対して輸血を行ったりします。こうした支持療法は、主治医、担当医と共に、がんの痛みなどのつらい症状や、不安などの精神的な苦痛を和らげる病院の緩和ケアチームが担います。

緩和ケアチームは緩和ケア医や精神腫瘍医、心理士のほか、がんの薬物療法に精通した薬剤師や看護師、あるいは管理栄養士、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種で構成されています。薬などの治療による対処にとどまらず、副作用がつらいときの生活上の工夫や食欲がないときの栄養管理についても親身に考えてくれます。今のがん治療は多職種がスクラムを組んで患者さんを支え、副作用をできる限り抑えながら、患者さんがその人らしい生活や緩和ケアチームの看護師を長く続けられるように考えられています。何を誰に相談したらよいのかわからないときなどは、緩和ケア医や緩和ケアチームの看護師を窓口にしてみるとよいでしょう。

監修:
大阪国際がんセンター 心療・緩和科(精神腫瘍科)
部長 和田 信 先生

(2023年4月作成)

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