主治医に仕事内容を理解してもらい、治療スケジュールを組みましょう
「これからは子ども達に教育費もかかるし、私の治療費もかかります。絶対に仕事を辞めたくはありませんでした。副作用は予想以上に辛かったのですが、時短勤務などで対応してもらいました。編集者は柔軟な働き方ができることが幸いした面はありますが、フォローしてくれた職場のみんなには本当に感謝しています」(Lさん)。
最近は手術後の抗がん剤治療を外来通院で行うケースが増え、時短勤務制度や時差出勤などを利用して働きながら治療を受けられるようになりました。ただ、同じ薬を使ったとしても副作用の現れ方は千差万別です。「意外に楽だった」という方もいれば、「副作用が辛すぎて、しまいには病院の建物を見るだけで吐いてしまった」という方もいます。仕事をどう続けていくかも体調や個々人の状況で違ってくるでしょう。こんなときはまず、主治医に相談してください。
実は、主治医はあなたの仕事の内容をよく知りません。「事務職です」「販売です」という漠然とした話ではなく、例えば「重い物を持つ必要がある」「スーパーで惣菜を売っている」「接客業で外見が気になる」など、具体的に話をしてみましょう。
抗がん剤の副作用には投薬直後に生じやすいもの(吐き気やだるさ)、何日か後に出てくるもの(手足のしびれや貧血)など一定のパターンがあります。仕事の内容と副作用の出現パターンを考慮しながら治療のスケジュールを組むほか、職場に対してわかりやすい言葉で副作用の説明をする手助けを主治医にしてもらってください。ここに書いた副作用の内容は、ほんの一例です。ご自身の治療については、ぜひ主治医や看護師、薬剤師に相談してみてください。
Lさんの投薬スケジュールは3週間に1回投与×4クールだったので、主治医と相談のうえ金曜日を1クールの投薬の日とし、土日は自宅で安静に、月曜日は午後から出勤というスケジュールとしました。「“次の投与の直前であれば副作用も治まって、体調や気分もそこそこ良いでしょう”と主治医が言うので、投薬前日付近に出張や家族との外食の予定を入れたりしていました」(Lさん)。また長時間の編集会議が辛いのでネット会議を取り入れてもらったところ、思いがけず好評で、皆が普通に利用するようになったそうです。