~医師が答えるAYA世代・働く世代の相談室~
人間関係のお悩み編

AYA世代とは、15歳~39歳の思春期・若年成人世代のことをさします。

誰と会っても、とにかく重い雰囲気になってしまいます。
周囲に変に気を使われたりするのも嫌なのですが…。

女性のイラスト

聞きたくない話が多いので、他の患者さんと話をしたくありません。
他の患者さんとのうまい付き合い方を教えてほしい。 

男性のイラスト

患者会に参加しましたが、自分には合っていないようです。
それでも、参加した方がよいのでしょうか?

男性のイラスト

友達の中に、急に親切になった人や疎遠になった人がいて、
がんというだけで、見えない壁ができてしまったように感じます。
友達と普段通り付き合うにはどうしたらよいですか?

女性のイラスト

先生や看護師さんは忙しそうで、気軽に相談ができず…。
治療に関係ない話はできるだけしないようにしているのですが…。

男性のイラスト

人間関係で悩まれる方は、とても多いですね。

身近な人とは今まで通りでいたいですね。自分に合った患者会があれば、一度行ってみるとよいかもしれません。

お医者さんのイラスト

がんになっても、友人や同僚と、今までと変わらない関係でいたいー。そんな患者さんの願いとは裏腹に、がんと分かったとたん、周囲から特別扱いをされてしまう、見えない壁ができてしまうということがあります。友人や同僚とどのように付き合っていけばよいのか、悩みや不安は誰に相談すればよいのか、そんな患者さんからの人間関係に関する悩みについて、がん研有明病院患者・家族支援部長の高野利実さんに答えてもらいました。

がんになっても、今まで通り、普通に

がんになると、これまで通りの人間関係が継続できなくなってしまうことがあります。これは、患者さんにとって、とてもつらく、深刻な問題です。がんという病気には過剰なイメージがつきまとい、現代社会においては、がん患者を特別な目で見る風潮があります。有名人ががんであることを告白すれば、ネット上で大ニュースとして広まります。がん以外にも命に関わるような重大な病気はいろいろありますが、がんほど特別視されることはないように思います。がんそのものよりも、がんのイメージや、それによる特別扱いで苦しんでいる患者さんが多くおられますし、がんであることを隠して過ごしている患者さんもたくさんおられます。これからは、一般市民ががんについて正しく理解することで、誰もが過ごしやすい社会にしていく必要があると思っています。まずは、「がんになっても、今まで通り、普通に」接することが大事だと多くの方に知っていただきたいです。

がんであることを言いにくい世の中ではありますが、親しい友人には、がんであることを伝えつつ、今までと変わらずに接してほしいと率直に話してみるのがよいかもしれません。「がん患者」としてではなく、「大事な友達」として、自然に接してくれる人がいるというのは、とても重要なことです。本当は、社会全体がそうなってほしいところですが。

悩みを共有できる患者どうしのつながりも

がんになったのをきっかけに、患者会に参加するなどして、患者さんどうしのつながりを広げる方もおられます。同じ境遇で分かり合える部分も多く、悩みも共有できて、本音で語り合えるようです。患者会は、乳がん、子宮がん、肺がんなど、がんの種類ごとに分かれていることが多く、全国規模のものから、地域のもの、院内のものなど、規模はいろいろです。若手世代に限った患者会など、それぞれに特徴もありますので、自分に合った患者会を探してみるとよいでしょう。インターネットで検索してもよいですし、お近くのがん相談支援センターで紹介してもらってもよいと思います。

無理に患者会に参加しなくてもよい

とはいえ、誰もが患者会を楽しめるというわけではないでしょう。自分に合った患者会を見つけ、いきいきと活動する人もいますが、「患者会は苦手」「一回行っただけ」といった患者さんもいます。考え方や感じ方はいろいろなので、合わないと思ったら無理して参加する必要はありません。

医療従事者に何でも話してください(雑談も大歓迎!)

周りの人に頼ったり、患者会で同じ境遇の方とつながったりして、人間関係を大事にしながら、自分らしく過ごしていただきたいと思いますが、不安なことや気になる症状があるときには、ぜひ医療者にも頼りましょう。担当医は、病気に関する専門知識を持っている身近な存在ですので、何を目標にしているか、自分にとって大切なものは何かを共有しながら、最適な医療を話し合っていきましょう。
「担当医も看護師も薬剤師も忙しそうで、話しかけづらい」という声もときどき聞きますが、忙しくしているときこそ、ちょっとした雑談があってもよいと思います。雑談は心の余裕を生む潤滑油にもなりますし、また、雑談を通じて、患者さんが大事にしていることや、日常生活で困っていることなどが分かってきますので、医療としても重要です。
「病気とは関係のないことだから、話すのをやめよう」とは考えず、診察室では、家族のこと、仕事のこと、日常生活のこと、趣味のことなど、ぜひ何でも話してみてください。

監修:
がん研有明病院 院長補佐 乳腺内科部長
患者・家族支援部長
高野 利実

(2023年3月作成)