一人で抱え込まず、サイコオンコロジスト(精神腫瘍医)などに相談しましょう
術後、Uさんは自分のお腹を見ようとはしませんでしたが、看護師さんがストーマケアをしてくれているときに、「とてもきれいな形のストーマですね」と言ってくれたのをきっかけに初めてストーマに目を向けました。“思ったより汚れていないんだ”と、少し安心したUさんは、それから看護師さんがケアをする合間に、質問をしたり手を出したりすることが増え、術後の痛みが小さくなってきた5日目には、自分でもやってみるようになりました。
ストーマについては術前の説明で理解していたとしても、現実に自分の身体の一部として受け入れるには誰でも時間がかかるものです。
また、入院中は医療者や家族などに励まされて一旦は受け入れることができたとしても、退院した後は生活のシーンごとに感情を揺さぶられることが出てきます。ストーマのことを家族以外には話せず、排泄の失敗が怖くて家に引きこもる人もいます。実際、Uさんも退院後2年近く外出を避けたそうです。
これが自分だと思えるまでには少し時間がかかるかもしれません。しかし、自分の気持ちに折り合いをつけるには必要な時間です。焦る必要はありません。そして、どうか自分一人で抱え込まず、医療者やサイコオンコロジストなどに今の気持ちを言葉にして吐き出してみてください。辛い気持ちはもちろんありますが、変化した生活の中でできていることにも意識を向けてみましょう。
ストーマの方を長期的にサポートするための専門外来「ストーマ外来」では、日常生活を快適に送るための細かいケアをお伝えしています。1歩1歩進むうちに、今ここでの生活に集中できるようになっていくことでしょう。