1大腸がんについて

大腸がんはどんな人に多いですか?

日本では最も多いがんで、50歳代から急増する傾向にあります。
食生活のかたよりや肥満、飲酒などが主なリスク要因となります。

大腸がんにかかる割合(罹患率りかんりつ)は年々増加しています。2019年の統計では、年間約15万5000人が新たに大腸がんと診断され、男女合計では胃がんを抜いて日本でもっとも多いがんとなりました。男女とも40歳代から増え始め、年齢を追うごとに罹患率が高まります。
増加の背景は、食生活の欧米化に伴う動物性タンパク質や脂肪分の摂りすぎ、運動不足、肥満、喫煙、飲酒などが挙げられます。
また、遺伝的な要因が関係していることもあり、家族性大腸腺腫症1)やリンチ症候群2)の家系の方では、大腸がんになる可能性が高いことが知られています。

主なリスク因子
年齢階級別 罹患率(全国推計値)2014
国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別統計情報」より
  • 1)家族性大腸腺腫症(FAP):大腸にたくさんの腺腫性ポリープが生じる遺伝性腫瘍で、大腸がん全体の約1%を占めます。がん抑制遺伝子であるAPC 遺伝子の変異が原因で起こり、40歳代で約半数の患者さんが大腸がんを発症することが知られています。
  • 2)リンチ症候群:遺伝子の異常を修復する「ミスマッチ修復遺伝子」に病的変異があり、その働きが低下することで起こる遺伝性腫瘍の1つです。大腸がん全体の約4%を占めます。大腸がん以外にも、子宮内膜がんや卵巣がん、胃がんなどにかかるリスクが高く、一般的な大腸がんより若年で発症しやすい特徴があります。

ご家族にこれらの病気の人がいる方は、若いうちから大腸の精密検査を受けることが勧められています。

国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」「大腸がん(結腸がん・直腸がん)」
日本消化器病学会編, 患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド, Q8, 2016
大腸癌研究会編, 患者さんのための大腸癌診療ガイドライン 2022年版, p7-8, 金原出版, 2022

(2023年4月作成)