6手術による外科切除について
手術による合併症や後遺症はありますか?
大腸がんの手術では、次のような合併症や後遺症が起こる場合があります。
気になる症状があったら主治医に相談してみましょう。
主な合併症
縫合不全 - 縫い合わせた腸がうまくつながらず、腸管のつなぎ目から便が漏れ出ることをいいます。炎症が軽度であれば食事制限や点滴治療で改善することがありますが、発熱や腹痛など腹膜炎の症状がある場合は、再手術が必要なことがあります。
腸閉塞 (イレウス)- 手術の影響で腸がうまく働かず、便の通りが悪くなった状態のことをいいます。食事を控えたり、腸の動きをよくする薬を飲むなどの対応を行ったり、鼻からチューブを使って胃液や腸液を排出させることで多くの場合改善します。
創感染 - 手術したお腹の表面の創が化膿し、腫れや痛み、発熱などが起こります。縫い合わせた皮膚を開き、たまった膿を出すことで、徐々に治ります。
主な後遺症
- 排尿障害
- 直腸の周りには、泌尿器や生殖器の機能をつかさどる自律神経が集まっています。この自律神経がダメージを受けると、尿意が鈍くなったり、排尿しても膀胱に残っている尿量(残尿)が多くなることがあります。
- 排便障害
- 直腸がんの手術で直腸が切除されると、便をためておく部分が小さくなり、便の回数が増えたり、排便を我慢できなくなったりします。また、肛門括約筋をコントロールする自律神経が傷つくと、排便を我慢できなくなったり、便意がよくわからなくなることもあります。
- 性機能障害
- 生殖器の機能をつかさどる自律神経がダメージを受けると、性機能も障害されます。
特に男性で起こりやすく、射精障害や勃起障害が多くみられます。
大腸がんと言われたら, p101-106, 保健同人社, 2008
もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
人工肛門(ストーマ)とは、腸の一部をお腹の壁を通してからだの外に出し、肛門に代わる便の出口としたものです。
人工肛門には、「永久人工肛門」のほか、一時的に人工肛門をつくる場合があり、切除部位や病状などにあわせて選択されます。
使い方やケアの方法などは、手術後に看護師とともに練習します。人工肛門になっても、日常生活の制限はほとんどなく、手術前の生活とほぼ同様の生活が可能です。

もっと知ってほしい大腸がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019