再発

再発と補完代替療法
~72歳男性 非小細胞肺がんの再発の場合~

KKさん:72歳 男性 非小細胞肺がんの再発
妻と二人年金暮らし。

2年前に肺がんと診断され、初期治療を終えました。しかし、定期検診で遠隔転移が見つかり、抗がん剤治療を始めました。

72歳男性

「食べ物の1つなので、主治医に相談する必要はないと思っていました」

再発と聞いてかなりのショックを受け、このまま西洋医学だけに頼っていてはダメだと思ったKKさんは、奥さまからの勧めもあり、免疫を高めるというキノコ由来の健康食品を使い始めました。「主治医には相談しませんでした。医師から特に注意を受けておらず、食べ物の1つなので特にこちらから話をする必要はないと思っていました」(KKさん)。

しかし、健康食品を使い始めた数週間後に呼吸困難と咳の症状が出たため、近所の内科クリニックにかかったところ肺炎と診断されました。KKさんはすぐに主治医に連絡をし、主治医に尋ねられて初めて健康食品を使っていることを伝えたそうです。結局、この健康食品が原因の薬剤性間質性肺炎(肺の組織に炎症が起こり、呼吸困難に至ることもある肺炎)と診断されたため、健康食品の使用をやめて入院治療をすることになりました。

健康食品を使い始める

健康食品による健康被害の報告があります

「免疫力アップ」「がんが小さくなる」などをうたう健康食品のなかには、患者さんの体調や治療の内容しだいで大きな問題を引き起こすものもあります。下痢や腹痛など軽いものから、KKさんに生じた肺炎や肝炎といった健康被害も報告されています1)

特に標準的ながん治療と並行して補完代替療法を利用する場合は、双方の成分が影響しあう「相互作用」で思わぬ副作用を引き起こす可能性もあるので、専門的な知識を持ち、あなたの状態をよくわかっている主治医の意見がとても重要です。

確かに、科学的根拠のない補完代替療法を軽視する医師もいますが、栄養補給やリラックス効果といった面から、最近は頭ごなしに否定する医師は少なくなりました。ただし、補完代替医療に関心が薄いことは事実なので、患者さんから話を切りだす必要があるでしょう。もし、せっかく勇気を出して相談したにもかかわらず、頭ごなしに否定され、納得がいかなかった場合は看護師や緩和ケアチーム、あるいはがん相談支援センターのスタッフに相談してみましょう。

いずれにしても、補完代替療法を使いたいと思い立った気持ちを医療者に伝えることは、これからの治療を支えるうえでとても大切なことです。例えば、補完代替療法に期待する気持ちの後ろに、これまでの治療や医師に対する不満や不安が隠れていないでしょうか?身体の痛みやつらさ、将来への不安や悩み、悲しみなどが混じり合っていないでしょうか?

最初から「この○○を飲みたい」と相談する前に、その「○○」を使おうと思った動機やきっかけを話してみると、主治医の理解が深まります。もしかすると「○○」ではなく、保険診療の範囲で解決できることがあるかもしれません。また、主治医とこれからの治療方針についてよく話し合うきっかけにもなるでしょう。

なお、厚生労働省が管轄している「統合医療」情報発信サイト『eJIM』では、補完代替療法(統合医療)に関する様々な情報のほか、医療スタッフに補完代替療法について話す際のヒントが掲載されています。このほか「がんの補完代替医療ガイドブック(第3版)」「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」などの冊子や資料もダウンロードできるので、ぜひ利用してください。

厚生労働省. eJIM
2023年10月20日閲覧、https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/index.html
厚生労働省. eJIM; 担当の医療スタッフに話す際のヒント
2023年10月20日閲覧、https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c04/01.html
厚生労働省. eJIM; 冊子・資料
2023年10月20日閲覧、https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/doc/index.html
1) がんの補完代替医療ガイドブック(第3版), 2012
(2023年10月20日閲覧、https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/doc/pdf/cam_guide_3rd_20120220_forWeb.pdf
監修:
大阪国際がんセンター 心療・緩和科(精神腫瘍科)
部長 和田 信 先生

(2023年12月作成)

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