健康食品による健康被害の報告があります
「免疫力アップ」「がんが小さくなる」などをうたう健康食品のなかには、患者さんの体調や治療の内容しだいで大きな問題を引き起こすものもあります。下痢や腹痛など軽いものから、KKさんに生じた肺炎や肝炎といった健康被害も報告されています1)。
特に標準的ながん治療と並行して補完代替療法を利用する場合は、双方の成分が影響しあう「相互作用」で思わぬ副作用を引き起こす可能性もあるので、専門的な知識を持ち、あなたの状態をよくわかっている主治医の意見がとても重要です。
確かに、科学的根拠のない補完代替療法を軽視する医師もいますが、栄養補給やリラックス効果といった面から、最近は頭ごなしに否定する医師は少なくなりました。ただし、補完代替医療に関心が薄いことは事実なので、患者さんから話を切りだす必要があるでしょう。もし、せっかく勇気を出して相談したにもかかわらず、頭ごなしに否定され、納得がいかなかった場合は看護師や緩和ケアチーム、あるいはがん相談支援センターのスタッフに相談してみましょう。
いずれにしても、補完代替療法を使いたいと思い立った気持ちを医療者に伝えることは、これからの治療を支えるうえでとても大切なことです。例えば、補完代替療法に期待する気持ちの後ろに、これまでの治療や医師に対する不満や不安が隠れていないでしょうか?身体の痛みやつらさ、将来への不安や悩み、悲しみなどが混じり合っていないでしょうか?
最初から「この○○を飲みたい」と相談する前に、その「○○」を使おうと思った動機やきっかけを話してみると、主治医の理解が深まります。もしかすると「○○」ではなく、保険診療の範囲で解決できることがあるかもしれません。また、主治医とこれからの治療方針についてよく話し合うきっかけにもなるでしょう。
なお、厚生労働省が管轄している「統合医療」情報発信サイト『eJIM』では、補完代替療法(統合医療)に関する様々な情報のほか、医療スタッフに補完代替療法について話す際のヒントが掲載されています。このほか「がんの補完代替医療ガイドブック(第3版)」「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」などの冊子や資料もダウンロードできるので、ぜひ利用してください。