7.悪性黒色腫の病期

がんの病期は、がんの大きさ(T)、リンパ節への転移の状況(N)、他の臓器への転移(M)の3項目をもとに、大きくⅠ~Ⅳ期に分類されます(TNM分類)。
悪性黒色腫では、Tは腫瘍組織の厚さと潰瘍の状態、Nはリンパ節や周囲の皮膚への転移の程度、Mは他の臓器への転移の有無によって判定されます。
治療を始める前に判定されるこの病期を「臨床病期」といい、がんの進行や治療の方法を決めるうえで、重要な判断材料となります。

治療ガイド

病期には、手術で切除した腫瘍などの組織を病理診断で詳しく調べ、がんの進行の程度を判定する「病理学的病期」もあります。悪性黒色腫の病理学的病期では、Ⅲ期がA、B、C、D とさらに4段階に分類されているのが大きな特徴です。手術後の治療については、この「病理学的病期」をもとに、個々の患者さんの状態に応じた治療方針が立てられます。

表1 悪性黒色腫の臨床病期(ステージ)分類

ⅠA期 がんの厚さが0.8mm未満 潰瘍なし
ⅠB期 がんの厚さが0.8mm未満
がんの厚さが0.8mm以上1mm以下
がんの厚さが1mmを超え2mm以下
潰瘍あり
潰瘍なし・潰瘍あり
潰瘍なし
ⅡA期 がんの厚さが1mmを超え2mm以下
がんの厚さが2mmを超え4mm以下
潰瘍あり
潰瘍なし
ⅡB期 がんの厚さが2mmを超え4mm以下
がんの厚さが4mmを超えている
潰瘍あり
潰瘍なし
ⅡC期 がんの厚さが4mmを超えている 潰瘍あり
Ⅲ期 リンパ節や周囲の皮膚・皮下への転移がある
Ⅳ期 他の臓器に転移がある
AJCC Cancer Staging Manual, 2017より作成
監修:
医療法人医誠会 医誠会国際総合病院 皮膚科 主任部長
爲政 大幾 先生

(2024年1月作成)