7放射線療法について

放射線療法は、どのように進められますか?

リニアックという大型治療機器を使って、病変部とそのリンパ領域を含めた範囲のみを照射します(領域照射といいます)。

ホジキンリンパ腫は、放射線療法によく反応する疾患の1つとして知られています。
放射線療法は、単独で用いる場合と、化学療法と組み合わせる場合があります。化学療法と組み合わせる場合は、先に化学療法を行うのが基本です。化学療法によってしこりが小さくなった場合は、照射する治療範囲がせばめられて正常組織への不要な照射を避けることができます。

治療のスケジュールと進め方

治療スケジュールは、照射部位や総線量などの要件を反映した治療計画にもとづいて決められます。多くの場合、1回の照射にかかる時間は数分で、痛みはありません。
ただし、放射線療法は一定期間、続けて治療を受けていただくことが必要です。治療を中断すると十分な効果が得られなくなりますので、職場や家庭での協力を得るなどして、できるだけ通院しやすい環境を整えておくとよいでしょう。

放射線療法を受ける患者さんのイラスト

放射線療法の主な副作用

放射線療法の副作用には、急性期のものと、治療後半年から数年後に起こる(または照射中に起こり6ヵ月以降も続く)晩期の副作用に分けられます。
副作用の程度はかなり個人差がありますが、放射線療法を行っている間に起きる急性期の副作用は、多くが治療終了後1~2週間で軽快します。
治療を始める前に、予想される治療期間や副作用などについて、放射線療法の担当医や医療スタッフに確認しておくとよいでしょう。

放射線療法で起こりやすい主な副作用

急性期の副作用(照射後1ヵ月以内に治まるもの)
  • 皮膚の変化(赤くなる、ヒリヒリする、色素沈着、など)
  • 全身的な疲労感、だるさ、食欲不振
  • 首筋(頸部けいぶ)を照射した場合:
    唾液の分泌が低下したり、口や喉の粘膜に炎症が起きて、飲み込みにくくなったり痛みを感じることがあります。炎症は照射後2週間から出現することが多いですが、通常は1ヵ月くらいで軽快します。
飲み込みにくくなったり痛みを感じる患者さんのイラスト
晩期の副作用(照射後6ヵ月以降に起きる、または照射中に起こり6ヵ月以上続くもの)
  • 口腔乾燥症(頸部、特にあごの下に照射した場合)
  • 放射線肺炎(発熱、乾いた咳、だるさ、息苦しい など)
  • 二次がん(主に放射線を当てた部位、例えば乳がん など)
  • 冠動脈疾患(胸を締め付けられるような感じ、胸が重い感じ など)

(治療中のセルフケアについては治療中のセルフケア(放射線療法を受ける方に)をご参照ください)

国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療の実際」
国立がん研究センター がん情報サービス「がんになったら手にとるガイド・放射線療法のことを知る
監修:
国立がん研究センター中央病院
血液腫瘍科 科長
伊豆津 宏二 先生

(2023年5月作成)