6放射線療法について

放射線療法とは、どのような治療法ですか?

高エネルギーのX線などを使ってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑える治療法です。食道がんでは、薬物療法と併用するのが一般的です。

食道がんの治療の大きな柱となるのが放射線療法です。また、放射線療法は、食道や胃、喉頭こうとう(声帯)の機能の温存が可能です。

治療の種類と進め方

治療方法は、外から放射線を照射する「外照射法」という方法です。効果の増強を目指して抗がん剤と組み合わせて用いるのが一般的です。
放射線単独では、食道をふさぐ病巣を縮小させ、食べものが通るようにするなど症状緩和の目的で使われます。

治療スケジュール

放射線単独療法は、通院での治療が可能ですが、抗がん剤を併用するときには入院が必要です。スケジュールは、抗がん剤と組み合わせる場合、通常、週5日間を6週間ほど継続します。1回の照射にかかる時間は数分で、痛みはありません。ただし、治療を中断すると十分な効果が得られなくなりますので、職場や家庭での協力を得るなどして、できるだけ治療を継続できる環境を整えることが重要です。

放射線療法

放射線療法の主な副作用

放射線療法の副作用には、照射後数週間以内の「急性期」に発症するものと、照射後数ヵ月〜数年以内の「晩期」に発症するものがあります。副作用の程度は個人差がありますが、急性期に起きる副作用の多くは、治療終了後1ヵ月程度で改善します。
予想される副作用については、あらかじめ放射線療法の担当医や医療スタッフによく確認し、納得して治療に臨むことが重要です。

放射線療法でみられる主な副作用

急性期の副作用(照射後数週間以内に発症するもの)
  • 皮膚炎
  • 食道炎、粘膜炎
  • 腹部の照射:腹痛や下痢
  • 頸部けいぶの照射:飲み込みにくい、のどの違和感、痛み
  • など
喉に違和感を感じている患者さん
晩期の副作用(照射後数ヵ月〜数年以内に発症するもの)
  • 食道の狭窄、穿孔、出血
  • 肺機能の低下、肺炎
  • 心外膜炎、心のう水貯留、胸水貯留
  • 脊髄への照射により神経マヒによる手足のしびれ
  • 甲状腺機能低下症(甲状腺機能の低下により、神経系、心臓、代謝など各器官の働きが低下)
  • など
祖父江由紀子 他編:がん放射線療法ケアガイド 第3版, p194-198, 中山書店, 2019
国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療」
国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん」
監修:
大阪大学医学部医学系研究科 外科学講座消化器外科学 教授
土岐 祐一郎 先生

(2024年8月作成)