2食道がんの病期

病期(ステージ)とはなんですか?どのように決められますか?

病期とは、病気の進行の程度を数値で示したもので、治療方針を立てるうえで重要な判断材料となります。ご自身のがんの状態を正しく把握するために、病期の意味を理解しておくことが大切です。

病期を決める3つの項目

がんの病期は、「がんの深さ(T)」「リンパ節への転移の状態(N)」「他の臓器への転移(M)」の3項目をもとに、0ゼロとⅠからⅣのローマ数字で表されます(TNM分類)。Tは深さです。食道の壁のどこまで、がんが達しているか(深達度しんたつどと言います)、Nは食道周囲のリンパ節への広がりです。転移がみられる領域リンパ節の数によってN0~N3に分かれており、リンパ節転移がどの範囲まで広がっているかで判定されます。Mは離れた臓器への転移です。食道に隣接しない臓器にがんが転移しているか、また、胸膜きょうまく腹膜ふくまくへの転移も遠隔転移に含まれます。

食道がんの病期

食道がんの場合、早期がんと言えるのは0期です。早期がんは、がんの深さが粘膜内にとどまっていて転移がない状態です。さらに深い粘膜下層まで進み転移がない状態がⅠ期に分類されます。Ⅱ期とⅢ期は進行がん、Ⅳ期は切除不能がんに分類されます。

食道がんの病期(ステージ)

0期 早期がん

Ⅰ期 転移のない粘膜下層浸潤ねんまくかそうしんじゅんがん

Ⅱ期Ⅲ期 進行がん

Ⅳ期 切除不能がん

日本食道学会 編:食道癌取扱い規約 第12版, p9-34, 金原出版, 2022
国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん」

食道がんの病期(臨床的ステージ)分類

N0 N1 N(2-3) M1a M1b
領域リンパ節
転移なし
領域リンパ節
転移
1~2個
領域リンパ節
転移
3~7個以上
郭清効果の期待できる領域外リンパ節に転移あり M1a以外の領域外リンパ節転移または遠隔転移あり
T0 原発巣としてのがんを認めない 0 ⅢA ⅣB
T1a がんが粘膜内にとどまる
T1b がんが粘膜下層にとどまる ⅢA ⅣB
T2 がんが固有筋層にとどまる ⅢA ⅢA ⅣB
T3r がんが食道外膜に広がっているが切除可能 ⅢA ⅢA ⅣB
T3br がんが食道外膜に広がっていて切除可能境界 ⅢB ⅢB ⅢB ⅣB
T4 がんが周囲の組織に広がっている ⅣA ⅣA ⅣA ⅣB
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食道がんのT分類(深達度)

食道がんのT分類(深達度)
日本食道学会 編:食道癌取扱い規約 第12版, p9-10,25-31, 金原出版, 2022
国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん」
監修:
大阪大学医学部医学系研究科 外科学講座消化器外科学 教授
土岐 祐一郎 先生

(2024年8月作成)