5食道がんの手術
手術後の合併症
手術に伴って起きてくるさまざまな症状やトラブルを合併症と言います。
食道がんの手術は、からだへの負担が大きく、合併症が起こるリスクも高いのが実情です。合併症が起きると、入院期間が長くなったり、再度手術をするなどの対処が必要になることがあります。
食道と胃、移植した小腸などを縫い合わせたところがうまくつながらず、つなぎ目から食べものや消化液が漏れ出し、炎症が起きて痛みや熱が出ます。
対処
- 食事を控えて回復を待ちます。
- 再手術が必要なこともあります。
肺炎などの呼吸器合併症
手術後は寝ていることが多く、痛みもあり、呼吸が浅くなりがちです。また、声帯の動きの悪化などから、痰をうまく出せなくなり、肺炎を起こしてしまうことがあります。

対処
- 意識的に痰を出すことが大切です(「ハッフィングによる痰の出し方」参照)。
もし出にくい場合には、ネブライザー(吸入器)を用いて気管支を広げる薬を吸入することもあります。 - 痛みを我慢すると呼吸が浅くなりますので、痛みが強い場合には、医師や医療スタッフに相談するようにしましょう。
声がかすれる、うまく飲み込めない(
食道がんの手術では、声帯を調節している反回神経と言う部分を触ります。反回神経が傷つくと、一時的に声がかすれたり、食べ物がうまく飲み込めなくなったりします。多くの場合、3〜6ヵ月で回復します。

対処
- 飲食物や唾液が誤って気管に入ってしまう
誤嚥 を避けるため、食べものを飲み込むときにあごを引くようにしましょう。
ダンピング症候群
手術により

対処
- 食事はゆっくりと摂り、一度にたくさん食べないようにします。
- 1 回の食事量を減らし、1日5〜6 回に分けて食べるようにします。
- 食べものをよく噛み、唾液と混ぜ合わせて口の中でかゆ状にしてから飲み込むようにします。
- 症状が起きそうだと感じたら、すぐにアメをなめるようにします。
日本臨床外科学会 「一般のみなさま 食道がんと診断されたら」
- 監修:
- 大阪大学医学部医学系研究科 外科学講座消化器外科学 教授
土岐 祐一郎 先生