5食道がんの手術
手術を受ける方に
食道やのどの手術をすると、「呼吸」「食べる」「話す」といった機能に影響が及ぶことがあります。

- 深い呼吸ができない場合
- 手術後は、痛みの影響もあり呼吸が浅くなり、痰も出しにくくなります。
おなかを使って深く呼吸したり、痰をうまく出せるように「ハッフィング」と言う方法を手術前から練習しておきましょう。
ハッフィングによる痰の出し方
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腹式呼吸後に、ゆっくりと深呼吸を繰り返す -
おなかに手をあてて、腹筋を使いながら「ハッ、ハッ」と小刻みに息を出す -
痰がのどまで上がってきたら「ゴホン」と咳をしながら痰を出す

- 飲み込みにくい場合
- 食べものを飲み込みにくくなることがあります。「
空嚥下 」を行って飲み込む練習をしましょう。空嚥下とは、食べ物を口にいれずに息を止めて唾を飲み込むことです。また食事をするときには、一口の量を減らし、よく噛んで、あごを引いて飲み込みます。ゆっくりと時間をかけて食べることも大切です。食事が終わったら、1時間程度は上体を起こしたままにしておきます。
空嚥下のやり方
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息を止める -
唾を「ゴクン」と飲み込む

- 発声しにくい場合
- 声がかすれるなど、発声しにくくなることがあります。機能低下を補うために、口や舌を動かしたり、発声練習などのリハビリを取り入れることもあります。医師や医療スタッフに相談してみましょう。
喉頭 を手術で切除した場合- 喉頭をすべて切除して発声機能が失われる場合は、食道を震わせて声を出す「食道発声」や、「電気喉頭※」、「シャント発声」などの器具を使って声を出す方法があります。手術前に主治医と話し合っておきましょう。発声機能を失った場合、身体障害の認定を受けることができます(「身体障害者認定の手続きについて」参照)。
- ※ 小型マイクのような器械を皮膚にあてて使う発声装置です。

日本臨床外科学会 「一般のみなさま 食道がんと診断されたら」
- 監修:
- 大阪大学医学部医学系研究科 外科学講座消化器外科学 教授
土岐 祐一郎 先生