がんそのものが原因で起きるめまいは、「平衡感覚(姿勢や身体のバランスを保つための知覚)」に関係する脳幹や小脳に発生した脳腫瘍が原因の「回転性めまい」と、内耳から脳に情報を伝える「前庭神経」の周辺に生じた聴神経腫瘍や、血液をつくる骨髄にがん細胞が侵入し、酸素を運ぶ赤血球の産生量が減少するために生じた貧血に伴う「非回転性めまい(浮動性めまい)」に大別されます。
脳腫瘍など中枢神経系に生じたがんに伴うめまいでは、めまいと併せて、吐き気・おう吐、激しい頭痛、麻痺やしびれ、手の震えのほか、ろれつが回らない、物が二重に見えるなど、脳出血や脳梗塞でみられるような症状が起きることがあります。このような中枢神経症状を伴うめまいの場合は、すぐに受診してください。
一方、貧血に伴うめまいでは、疲労感や息切れ、立ちくらみなど一過性の症状だけでおさまることが多いため、「一時的なものだから」と放置してしまいがちです。化学療法や放射線療法の影響で、貧血と血小板減少が重なると、転倒などによるけがが致命的な出血につながる恐れもあるので、主治医から説明を受け、十分注意をしましょう。