こんな症状
- 口内で嫌な味がする
- 食べ物本来の味がしない
- 食べ物の味を感じにくい
- 口内が苦い(何を食べても苦い) など
- 発現時期
- 主に抗がん剤治療中
味覚に関する変化は、抗がん剤治療を受けるがん患者さんで多く、3~7割1)~3)にみられます。食べ物の味がしなかったり、嫌な味がしたりと味覚に関する様々な症状があらわれ、食べ物のにおいに対する嫌悪感も加わって、食欲低下や悪心などの不快な症状を伴います。
このような症状によって、「食べたい」という気持ちが失われ、食事量の減少や低栄養が生じ、さらには体重の減少や体力の低下につながります(詳しくは下記【コラム】味覚の変化とは 参照)。
一方、がん治療の薬剤以外にも、他の薬剤やストレスなどによって味覚変化を生じている可能性もあるので注意が必要です。
味覚変化によって起こる食欲不振や体重減少は、がん治療の継続にも大きく影響します。味に異常を感じたら、早めに医療者に相談し、味覚変化の原因をしっかり突き止めて、対策を講じることが必要です。
【コラム】味覚の変化とは
抗がん剤治療に伴う味覚の変化は「うま味」、「塩味」の感じ方の低下が多く、「甘味」、「酸味」の変化は少ないということがわかっているので、味付けの際に考慮することも大切です。
とはいえ、個々の患者さんで症状は大きく変わってくるので、どの味覚が変化しているか、敏感になっているかなど、ご自身の症状をよく観察することが重要です。
- 参考
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- 田村和夫 他編著:がん患者の症状 まるわかりBOOK, 照林社, 2018年
- 日本がん看護学会監修:がん治療と食事(治療中の食べるよろこびを支える援助), 医学書院, 2015年
- 東口髙志:やさしいがん患者の代謝と栄養管理~病態の変化にそった実践法~, 医薬ジャーナル社, 2017年
- 丸山道生:癌と臨床栄養2版, 日本医事新報社, 2016年
- 引用
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- 1)Hovan AJ, et al. Support Care Cancer 2010; 18(8): 1081-1087.
- 2)Bernhardson BM, et al. Cancer Nurs 2009; 32(1): 45-54.
- 3)神田清子 他. 日本がん看護学会誌. 1998; 12(1): 3-10.
- 監修:
- 京都府立医科大学 呼吸器内科
教授 髙山浩一先生