UCさん 40代 大腸がんステージⅣ

がんサバイバーとは、がんが治癒した人だけではなく、がんの診断を受けた時から死を迎えるまでの全ての段階にある「がんの経験者」を指します。

個人の体験談であり、個人情報保護の観点から一部の情報を改変しています。
この記事の内容を参考に運動や食事を工夫してくだされば幸いです。ただし、ご自身の治療内容や生活上の注意点については、必ず主治医にご相談ください。

UCさん 40代

UCさん 40代 大腸がんステージⅣ(2022年現在)
夫と子ども(2歳と3歳)の4人暮らし、会社員

  • 2021年 大腸がんと診断され、切除手術を受ける。術後に肝転移が見つかり、休職して術前化学療法を開始
  • 2022年初め 肝転移を切除。術後化学療法は副作用(アレルギー反応)が出たため休薬
  • 2022年春 休薬中に復職(週5日、フルタイム勤務)

1日のスケジュール表

06:00
起床
06:30
散歩
週4~5日は朝30分歩いています。
07:00
子どもを起こし、朝食
08:30
保育園に送り届け、出勤(自転車)
09:00
仕事(営業事務)
体調が悪い時は、午前中を在宅勤務にすることがあります。
仕事(営業事務)
12:00
昼食(お弁当)
13:00
仕事
17:30
退勤、保育園にお迎え
18:00
夕食の支度
19:00
夕食、子どもの世話(入浴、歯磨き、寝支度など)
21:30
就寝
 保育園に送り届け、出勤(自転車)

小さい子どもの世話をしながら、職場に復帰しました

UCさんつい数ヵ月前に復職したので、1日のスケジュールはまだ試行錯誤しています。身体がとてもしんどい時は、帰宅後は夫に子どもの世話を任せて、ずっと寝ていることもありますし、午前中は在宅勤務にして午後から出社することもあります。復職の際、週に2、3日または時短勤務を希望したのですが、社内規定にそうした制度がなかったため、上司と相談して在宅勤務をたまにさせてもらっています。

正直、まだ私の身体はフルタイム勤務ができる体調ではないと思っていて、1日のうち夕方にどっと疲れを感じます。特に退勤して自転車をこぎながら「帰ったらお風呂の準備をして、夕ご飯を作って食べさせて……」と考えている時間が本当につらいですね。

野菜たっぷり肉カレーもよく作ります

UCさん基本的に家族みんな、同じメニューを食べています(写真;量は異なる)。漢方専門の医師から、低糖質・高たんぱく質のメニューが身体によいと聞いて、好物の炭水化物(糖質の基となる米、パンなど)を控えて、それまで少なかったたんぱく質(肉、魚、豆類など)を増やし、さらに栄養バランスを考えて野菜を多く摂るようにしました。薄味・油控えめもすすめられたのですが、それだと子どもたちが食べてくれないので、折衷案でスパイスと少量の油で野菜たっぷり肉カレーもよく作っています。これは塩を入れなくてもスパイスで十分味がつくと夫が教えてくれました。あとは、腸内環境を整えるために甘酒を飲んでいます。

朝食

◆朝食

  • 雑穀米
  • 豆腐とキャベツの味噌汁
  • キャベツ、しめじ、ひき肉の煮込み
  • ゆで卵、ブロッコリー
  • 豆乳ヨーグルトとシリアル食品
  • リンゴ
  • コーヒー
昼食(お弁当)

◆昼食(お弁当)

  • 胡麻のふりかけご飯
  • つけもの
  • 揚げじゃが
  • ほうれん草の白和え
  • 魚のみぞれあんかけ
夕食

◆夕食

  • 白米
  • 豆腐の味噌汁
  • 肉じゃが
  • 焼き鮭
  • ゆでたブロッコリー
  • ほうじ茶

味覚障害中は、ゆで卵と酸っぱいものを食べていました

UCさん抗がん剤で治療中はたいして食べていないのにもかかわらず、高脂血症で総コレステロールと中性脂肪が高くなりました。味覚障害も出て、ゆで卵しか食べられなくなり、また、水の味がダメになって水やお茶が飲めず、原液のリンゴ酢やコーヒーで水分を摂っていました。この時、体重が一気に落ち、診断前と比べて4.8%ほど減りました(42kg から40kg)。管理栄養士さんからは、「卵はコレステロールが多く含まれていて気になるかもしれませんが、食べられるものを食べて。飲めるものを飲んで」と言われて、とにかく頑張って飲食しました。

現在は43kgにまで体重が戻りましたが、体力をつけるためにもう少し体重を増やしたいと思っています。しかし、大腸と肝臓という消化管の手術を2回しているので、腸に負担をかけないために食べ過ぎないようにしています。

運動として30分歩いています

UCさんがんになる前は、あまり運動をしていませんでした。ただ、がんサバイバーは運動をした方がよいとよく見聞きしたので、子どもたちがまだ眠っている朝に散歩を30分くらいしています。ネットで検索したら、色々な運動を知ることができますが、まずは簡単に無理なく始められる散歩にしました。今後は自分の体調と生活に合う運動を探していこうと考えています。

休職中は看護師さんが主催しているヨガのオンラインクラスに加入し、週に1、2回の「自宅ヨガ」をしていました。今も体調が悪い時は、「深呼吸したり、手をグーパーグーパー動かしたりして血流をよくすると、酸素が身体をめぐって楽になることがありますよ」というヨガの先生の言葉を思い出しながら身体を動かしています。運動というと何となくしんどいものというイメージがありましたが、自宅ヨガのようにストレッチの延長のような感じで実施できるものも心身のリフレッシュに効果的だと感じています。

朝の散歩

〈がんサバイバーのみなさまへ〉眠れない時は、すぐに医師に相談しましょう

UCさん肝転移が見つかった時、すごく落ち込んで、眠れず、食べられず、動けずの状態になりました。医師に相談したら精神科を紹介されて、睡眠導入剤を処方されました。「とにかく寝なさい。寝ないと食事も運動もできません」と言われて、抵抗感はありましたが飲みましたよ。結果、睡眠の効果を実感しました。眠らないと不要なことも考えるので、眠れない時は薬を使ってでも寝ることをおすすめします。

あとは、早く回復したいと焦らないことです。寝込んでしまうと「一生このままかも」と不安になるのですが、そのようなことはなくて、数日ゆっくりすれば身体は動くようになりました。体調日誌をつけるのもおすすめで、自分の体調に周期があることがわかるので、読み返すことで体調が悪い日がずっと続いていないことに気づけると思います。

監修医から一言

管理栄養士の先生より

料理のお写真を拝見すると、身体に必要な5大栄養素をきちんと取り入れられていますね。腸に負担がかからないように食事量を少なめにしているとのことですが、病院の栄養士さんに、たとえば「消化によいお粥やうどんなら量を増やしてもよいのか?その量は?」などを相談するとよいでしょう。また、特に炭水化物を控える必要はありません。相談をする際は、ご自身の好物や家族構成、生活環境を具体的に伝えるようにすると、実践しやすいメニューの具体的なアドバイスが得られると思います。

理学療法士の先生より

運動を意識づけできるので、朝の散歩はとてもよいですね。また、幼いお子さんのお世話と家事、自転車での出退勤で十分な身体活動量になっているように思います。復職して間もないので無理はせず、今の生活に慣れてきたら病院の理学療法士に相談して、あなたの身体に合った運動を教えてもらうとより体調が整いやすくなるでしょう。

加えて、体調が悪い時は休むことを優先されていることもよいところです。少し回復したなと感じたら、自宅ヨガに加えて、段差を利用した段差昇降運動などを試してみてください。低い段差でも構いませんので、段差一段を昇り降りするように足踏みをすることで足の筋力トレーニングになります。

  • 監修:
    愛媛大学医学部附属病院 栄養部
    部長 利光 久美子 先生
    名古屋大学大学院医学系研究科 総合保健学専攻
    予防・リハビリテーション科学 創生理学療法学講座
    立松 典篤 先生