倦怠感への対策

こんな症状

  • だるい
  • 身の置き所がない
  • おっくうで何もやる気が起こらない  など
発現時期
がんと診断された時から
倦怠感への対策

倦怠感は健康な人でも一般的な症状とされていますが、がん患者さんでは持続的な疲れやだるさがあり、日常生活に大きな支障が出ます。休息によっても改善効果が得られないため、大変つらい症状といえます。また、がん悪液質あくえきしつでは筋肉の減少などによって倦怠感が生じます(詳しくは下記【コラム】「がん悪液質」とは 参照)。

倦怠感が起こる原因は、がんそのものによるものや治療に関連するものなど様々ですが、「倦怠感はしかたがない」とその症状を医療者へ訴えない患者さんも多くいらっしゃいます。倦怠感の持続によって日常生活が大きく損なわれ、治療への意欲が低下してしまうこともあります。
がん患者さんそれぞれに生じている倦怠感の原因を早くみつけ、適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。医療者にしっかりご自身の状態を伝え、少しでも早く倦怠感への対策をとることが大切です。

【コラム】「がん悪液質」とは

がんになると、食欲不振や体重減少などが起こりますが、原因の一つにがん悪液質があります。がん悪液質では主にがんがつくり出す「サイトカイン」という物質によって、たんぱく質、炭水化物、脂肪などの代謝に異常が起こります。その結果、筋肉量や脂肪量が減少することで体重が減ってきます。

倦怠感に対する工夫

  • ご自身の倦怠感の出現パターンを把握して、それに合わせて活動計画を立てましょう。
  • 倦怠感が強い場合は周りの方の助けを借りるなどして、エネルギーを温存しましょう。
  • 有酸素運動を行うことで効果が期待できる場合があります(ご自身の体調に応じて行いましょう)。
  • 治療による副作用などの状態をしっかり医療者に伝え、その対策を早めにとるようにしましょう。
  • リラクゼーションやマッサージなども効果が期待できます。
参考
  • 田村和夫ほか 編:がん患者の症状 まるわかりBOOK、照林社、2018年
  • 日本緩和医療学会 編:専門家をめざす人のための緩和医療学 改訂第3版、南江堂、2024年
  • 東口髙志 編:やさしいがん患者の代謝と栄養管理~病態の変化にそった実践法~、医薬ジャーナル社、2017年
  • 丸山道生 編:癌と臨床栄養2版、日本医事新報社、2016年
監修:
京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学
教授 髙山浩一先生

(2023年4月作成)
(2025年4月更新)