13手術後の食生活について

手術後に起こる症状と対策

手術後の食生活について、食事の内容や症状別の対策、ダンピング症候群を予防する食べ方など、詳しくは主治医や栄養士にご相談ください。

胃がんの手術後では、食べ物を貯めておく機能が失われ、小腸に食べ物が一度に流れ込むため、さまざまな不快な症状が起こる場合があります。なお、手術後に起こる症状はそれぞれ異なるため、症状が現れたら主治医にご相談ください。

胃がんの手術に伴う症状と対策

ダンピング症候群(詳しくはこちら

食べ物が胃に貯められず、そのまま腸に流れ込むことを「ダンピング」といいます。ダンピング症候群は胃がんの手術を受けた方に起こりやすい症状の一つです。

便秘

手術後は食事の量が少なくなり、とくに食物繊維の摂取が減るため起こりやすくなります。また、胃の動きを腸に伝える神経の切断も原因となります。

対策

  • 少量をゆっくりよくかんで食べる
  • 水分をこまめに補給する
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下痢

ダンピング症候群の一つと考えられています。手術により胃や腸の運動が低下したところに食べ物が急に腸に流れ込み、脂肪の吸収も低下するため、下痢が起こりやすくなります。

対策

脂っこいものや生もの、牛乳・アルコールを避け、消化のよいものを食べる

貧血

赤血球は、胃酸や胃液から分泌される物質により、鉄やビタミンB12が吸収されてつくられます。胃の手術後は胃酸や胃液が少なくなるため、鉄やビタミンB12の吸収が不足することで貧血が起きやすくなります。

対策

鉄分が多く含まれた食材(レバー、ほうれん草、小松菜など)をとる

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食べ物の逆流

胃の入口で食道への逆流を防いでいた噴門を切る手術を行った場合、逆流が起こりやすくなり、胸やけやむかつきなどの症状があらわれやすくなります。

対策

  • 少食後1~2時間は仰向けになって寝ない
  • 食べ過ぎない
  • 就寝前は食事を控える
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つかえ感・胸やけ

食道と胃や腸をつないだ部分(吻合部)が狭くなったり、むくんで動きが悪くなることでつかえ感が起きることがあります。また、胃酸が食道に逆流して、食道の粘膜を刺激し胸やけなどが起こりやすくなります。

対策

  • ゆっくりよくかんで食べる
  • 食後1~2時間は横にならない
  • 食事を控えめ目にする

味覚の変化

手術後は栄養素のひとつである亜鉛が吸収されにくくなり、亜鉛欠乏症になる場合があります。亜鉛の不足は、味覚の変化が起こる原因の一つでもあります。

対策

主治医や薬剤師と相談の上、サプリメントや薬剤で亜鉛を補うこともあります

改訂版 胃を切った人のための毎日おいしいレシピ250, p164-165, Gakken, 2023
がん研有明病院の胃がん治療に向きあう食事, p12-15, 女子栄養大学出版部, 2015
がん患者さんのための国がん東病院レシピ2, p48-49, 法研, 2020
Namikawa T et al.: Int J Clin Oncol 26(10): 1864-1870, 2021
監修:
大阪警察病院 がん診療センター長
消化器外科部長 西川 和宏 先生

(2024年7月作成)