胃がんでは、主に手術と薬物療法によって治療が行われます。 遠隔転移がない、もしくはその可能性が低いと判断された場合、胃の一部あるいは全部を切除する手術が選択されます。
早期胃がんでリンパ節転移の可能性が極めて低い患者さんに対しては、内視鏡での治療が選択されます。内視鏡的な治療としては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
内視鏡を口から入れ、胃の粘膜にある病変(がん)を浮き上がらせてスネア(輪っか状の細いワイヤー)をかけ、高周波電流によって切除する方法です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
内視鏡を口から入れ、粘膜下層に液体を注入して病変を持ち上げ、特殊な電気メス(高周波ナイフ)を使って粘膜下層から剥ぎ取るように病巣を切除する方法です。
切除した病変(標本)の観察が確実に行えることから、現在では多くの患者さんでESDが行われています。切除後の病理検査で、リンパ節への転移リスクがほとんどないと判断された場合は、そのまま経過を観察します。リンパ節への転移リスクが無視できないと判断された場合は、追加の外科手術による切除が検討されます。
※EMR:endoscopic mucosal resectionの略です
※ESD:endoscopic submucosal dissectionの略です
日本胃癌学会編:患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版, p16,21-22,54-56, 金原出版, 2023
国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」「内視鏡治療」
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
日本胃癌学会編:患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版, p21-22, 金原出版, 2023より作図