胃の全体や2/3以上を切除する「定型手術」、胃の一部を切除する「縮小手術」、胃に加えて周りの臓器も切除する「拡大手術」など、がんの広がりによって様々な手術様式があります。
手術は、がんを確実に切除する方法が検討されます。がんの病期や位置に応じた標準的な術式にしたがい、胃の周囲のリンパ節を含めて切除する(リンパ節郭清術)のが一般的です。
手術による切除の範囲と手術の方法
「定型手術」とは、胃全体または胃の 2/3 以上の切除に加えて、リンパ節をその周りの脂肪組織などと一括して取り除く手術をいいます。
「非定型手術」には、胃とリンパ節の切除範囲が定型手術より狭い「縮小手術」と、胃とリンパ節に加えて他の臓器を同時に切除する「拡大手術」があります。
胃がんがどこまで広がっているか、リンパ節転移があるかなどにより、どの手術が適しているかが検討されます。
胃がんの手術方法は、おなかを開いて切除する方法(開腹手術)と、おなかに小さな孔を数ヵ所開けてカメラや器具を挿入して切除する方法(腹腔鏡手術)や、手術支援ロボットを使用するロボット支援下手術※がありますが、切除する範囲はいずれの方法でも変わりません。
内視鏡による切除は、口から入れた内視鏡を使って胃の内側から腫瘍を剥ぎ取るように除去します。主な対象は、早期胃がんでリンパ節転移の可能性が極めて低く、腫瘍が一括切除できる部位と大きさ(最大径 3cm 以下)の患者さんです※。
※保険診療に関しては担当医にご相談ください。
※※適用となる腫瘍の大きさは、分化型胃がんと未分化型胃がんで異なります。
もっと知ってほしい胃がんのこと, p10-11, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2016
日本胃癌学会編:胃癌治療ガイドライン, 医師用2021年7月改訂 第6版, 金原出版, p16-29, 2021
日本胃癌学会編:患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版, p26-35, 金原出版, 2023
手術の種類と切除範囲
- 胃全摘術
①から②までを切除
- 噴門側胃切除術
①から③までを切除
- 幽門側胃切除術
②から③までを切除
- 幽門保存胃切除術
③から④までを切除
手術の方法
- 開腹手術
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- 腹腔鏡手術
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- ロボット支援下手術
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- リンパ節郭清術
- 目に見えないがんを取りこぼすリスクを減らすため、明らかな転移がみられない場合でも、胃の周囲のリンパ節を含めて広く切除する方法が用いられます。リンパ節の郭清範囲は、胃がんができた場所や胃がんの進み具合に応じて決められます。
日本胃癌学会編:胃癌治療ガイドライン, 医師用2021年7月改訂 第6版, p17, 金原出版, 2021
日本胃癌学会編:患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版, p27,35, 金原出版, 2023
- 監修:
- 静岡県立静岡がんセンター 副院長
寺島 雅典 先生