2胃がんの病期
病期(ステージ)とは何ですか?
どのように決められますか?
病期とは、病気の進行の程度を数値で示したもので、治療方針を立てるうえで重要な判断材料となります。
がんの病期は、がんの広がり(T)、リンパ節への転移の状態(N)、他の臓器への転移(M)の3項目をもとに、大きくⅠ~Ⅳ期に分類されます(TNM分類)。Tは、胃がんの外側方向への
治療を始める前に判定されるこの病期を「臨床病期」といい、がんの進行度や治療の方針を決めるうえで、重要な検討材料になります※。
早期胃がんと進行胃がん
臨床病期とは別に、胃がんはその深達度から「早期胃がん」と「進行胃がん」に分けられます。「早期胃がん」とは、がんが粘膜下層までの浸潤に留まるもので、「進行胃がん」とは固有筋層よりも深く浸潤しているものをいいます。これらはがんの進み具合を具体的に示すものではありませんが、「早期胃がん」では転移していることが少なく、「進行胃がん」ではより深くまで浸潤するほど、リンパ節や他の臓器への転移が多くなることが知られています。
※病期には、臨床病期のほかに、手術で切除した腫瘍などの組織を病理診断して判定する「病理学的分類」による病期もあります。手術後の方針は、手術後に確定した病理学的病期をもとに決められます。 もっと知ってほしい胃がんのこと, p6, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2016日本胃癌学会編:胃癌取扱い規約第15版, p17, 26, 金原出版, 2017
胃がんの臨床病期(ステージ)分類
TNM分類第8版より作成
N0 | N1 | N2 | N3 | ||
---|---|---|---|---|---|
リンパ節転移 がない |
1-2個 | 3-6個 | 7個以上 | ||
T1a | がんが粘膜固有層 または粘膜筋板まで達している |
Ⅰ | ⅡA | ⅡA | ⅡA |
T1b | 粘膜下層まで達している | ||||
T2 | がんが固有筋層まで達している | Ⅰ | ⅡA | ⅡA | ⅡA |
T3 | がんが漿膜下層まで達している | ⅡB | Ⅲ | Ⅲ | Ⅲ |
T4a | がんが漿膜を越えて胃の表面に出ている | ⅡB | Ⅲ | Ⅲ | Ⅲ |
T4b | がんが隣接する組織や臓器に達している | ⅣA | ⅣA | ⅣA | ⅣA |
M1 | 肝、肺、腹膜など遠くに転移している | ⅣB | ⅣB | ⅣB | ⅣB |

胃がんの深達度(T分類)

インフォームドコンセントのための図説シリーズ 胃がん 改訂版, p25, 医薬ジャーナル社, 2012
TNM Classification of MALIGNANT TUMOURS Eighth Edition, WILEY Blackwell, p65, 2017
- 監修:
- 静岡県立静岡がんセンター 副院長
寺島 雅典 先生