7手術の後遺症とケア

手術のあとは、どのようなことに気をつけたらよいですか?

胃を切除したあとには多くの場合、「胃切除術後いせつじょじゅつご症候群」と呼ばれる後遺症が起こります。食生活の工夫や対処のためのお薬がありますので、症状に合わせた対応をとることが大切です。

胃切除術後症候群の主な症状とそのケア

ダンピング症候群
食べたものが腸へ一気に流れ込むことで生じます。食後すぐに現れる腹痛、動悸や発汗などの早期ダンピング症候群と、食後2〜3時間経ってから現れる、動悸どうき、発汗、めまい、失神、脱力、手や指のふるえなどの後期ダンピング症候群があります。
ダンピング症候群を予防するには、ゆっくり食べる、1回の食事量を減らして1日の食事の回数を増やす(5〜6回)、よく噛んで食べる、食事中の水分摂取を減らすなど、食事の摂り方を工夫することが効果的です。
貧血
胃の切除から数ヵ月経つと、今までは胃から取り入れることができていた鉄が不足することによって、鉄欠乏性貧血が起こることがあります。また、4~5年経ってからビタミンB12の欠乏により巨赤芽球きょせきがきゅう性貧血が起こることがあります。
これらは徐々に進行することが多いため、自覚症状が現れにくい傾向にあります。胃全摘した場合に生じやすく、食事に気をつけていても改善しない場合は、鉄剤やビタミンB12の投与による治療が考慮されます。
体重減少
胃の手術をすると、消化吸収がうまくいかなくなったり食事量が低下することなどが原因となって、体重が5〜20%程度減少することがあります。
体重減少のピークや下げ止まりの時期には個人差がありますが、体重を戻そうとして無理に食べる必要はありません。多くの場合、日が経つにつれて食べる量は安定してきます。自分の体と折り合いをつけながら、あせらず徐々に手術前の食生活に戻していきましょう。自分に合った食事のしかたは、栄養士などの医療者に相談することもできます。
骨粗こつそしょうしょう
胃の手術をすると、カルシウムの吸収が悪くなり、骨が弱くなって骨折しやすくなることが知られています。必要に応じて骨密度を増やす効果のある薬やカルシウム製剤、ビタミンD製剤などの投与が検討されます。
胆石症たんせきしょう
胃の手術後は、胆嚢たんのうの働きが悪くなることで、胆嚢炎や胆石症が生じることがあります。胆嚢は、胆汁という消化液をためて濃縮する臓器で、脂肪の消化・吸収を助ける働きがあります。胆石症は胃切除後の患者さんの10~20%にみられ、手術後3年以内に起こることが多いようです。場合によっては手術が必要になることもあります。
もっと知ってほしい胃がんのこと, p12-13, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2016
病気がみえる vol.1 消化器 第5版, p128-131, メディックメディア, 2016
日本胃癌学会編:患者さんのための胃がん治療ガイドライン2023年版, p68-71, 金原出版, 2023
日本臨床外科学会「一般の方へ・胃癌と診断されたら」
国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」
監修:
静岡県立静岡がんセンター 副院長
寺島 雅典 先生

(2023年8月作成)