6放射線療法について
放射線療法を受けるにあたり、日常生活で注意することはありますか?
放射線治療による粘膜炎で、口の中が荒れたり、食事の際に違和感や痛みが出現する場合があります。
日常生活でのセルフケア
- 口の中の粘膜に対するケア
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- 口や喉の粘膜に負担をかけないように、食事や水を飲むときは、ゆっくり噛んで、飲み込むときの1回量を減らしましょう。
- 食事は、粘膜を刺激しないように、かたいものや熱いもの、辛味の強い刺激物は避けましょう。
- 毎食後にやわらかい歯ブラシで歯をみがき、口の中を清潔にしましょう。
- こまめにうがいをして、乾燥を防ぎましょう。
〝ガラガラうがい〟は誤嚥 を招く危険があるので〝ぷくぷくうがい〟を心がけましょう。 - お酒やタバコは、厳禁です。



- 放射線を当てた部位の皮膚炎に対するケア
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摩擦 などの刺激を避けることが大切です。照射した部位をゴシゴシこすらないようにしましょう。- かゆみやひりひりした感じがある場合は、冷たいタオルなどで冷やすと症状が軽快することがあります。
- 食事をするときのケア
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- 粘膜を刺激しないような食事や飲水を心がけましょう。
- よく噛み、少量ずつ口の中に入れて、ゆっくり飲み込みましょう。
- やわらかくてのどごしのよい食事をとるようにしましょう。
(例:水分の多いおかゆやスープ、ヨーグルトやゼリー、豆腐など) - 高齢の方には、誤嚥を防ぐために、とろみをつけた調理の工夫をし、薬を飲むときには服薬ゼリーなどを使うこともおすすめです。痛みが強い場合は口腔内保護剤や鎮痛剤もありますので、医師や看護師にご相談ください。
口腔ケアのすすめ
- 口の中を清潔に保つことは、手術後の感染などの合併症の発生を抑えたり、放射線治療中・治療後の合併症を予防するうえでもとても大切です。
- 唾液腺に放射線が当たると、唾液の分泌が悪くなることがあります。唾液が少ないと虫歯ができやすく口腔内も不潔になりますので、治療前から歯科医を受診するようにしましょう。そして、治療後も継続して診察を受けるようにしましょう。

国立がん研究センターがん情報サービス「放射線治療の実際」
頭頸部がんの化学放射線療法, p156-161. 日本看護協会出版会, 2015
- 監修:
- 国立がん研究センター東病院
副院長 頭頸部外科
林 隆一 先生
(2023年4月作成)