あなたと一緒に、がんと向き合う

7薬物療法について

薬物療法とは、どのような治療法ですか?

薬剤を使って、がん細胞の増殖を抑えたり消滅させることを目的とした治療法です。薬が体内に行き渡ることで、全身に散らばったがんに対しても作用を示します。

薬物療法は、手術に先行して行われたり、放射線治療の効果を高めるために放射線治療と併用して行われます。
また、手術後の術後治療として放射線治療に併用されることがあります。一方、手術や放射線治療が行えない遠隔転移がある患者さんでは、薬物療法として「化学療法(抗がん剤)」「分子標的療法」「がん免疫療法」が行われます。

点滴をしている患者さん

薬物療法を用いた主な治療法

薬物療法を用いた主な治療法
耳鼻咽喉科エキスパートナーシング 改訂第2版, p469. 南江堂, 2015

化学療法(抗がん剤)

抗がん剤は、主に細胞が分裂する増殖過程に作用してDNAの合成を妨げたりその機能を障害することで、がん細胞の増殖を抑える働きがあります。頭頸部がんに対しては、主に「プラチナ製剤(白金製剤)」と呼ばれる抗がん剤が、単独、または他の種類の抗がん剤と組み合わせて用いられます。

抗がん剤

分子標的療法(分子標的薬)

分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わる特定の遺伝子の産物(タンパク質)に作用し、がん細胞が増えるのを抑える働きがあります。頭頸部がんの患者さんでは、細胞の増殖に重要なEGFRと呼ばれるタンパク質が多く発現していることがわかっています。そのEGFRを標的とした分子標的薬を用いてがん細胞の増殖を阻害します。

分子標的薬
がん化学療法ケアガイド 改訂版, p25-39. 中山書店, 2012
日本臨床腫瘍学会編: 新臨床腫瘍学 改訂第4版, 南江堂, 2015

がん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)

私たちの体は、免疫機能が正常に働いている状態では、T細胞などの免疫細胞が、がん細胞を「自分でないもの」と判断し攻撃します。しかし、がん細胞は、免疫機能から逃れようと、免疫細胞にブレーキをかけ、攻撃から逃れていることがわかっています。
薬剤を用いて、がん細胞による免疫細胞へのブレーキを解除し、患者さん自身にもともとある免疫の力を使って、がん細胞への攻撃力を高める治療法を「がん免疫療法」といいます。
頭頸部がんでは、「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる薬剤が用いられています

免疫チェックポイント阻害薬
日本臨床腫瘍学会編: 新臨床腫瘍学 改訂第4版, 南江堂. 2015
日本臨床腫瘍学会編: がん免疫療法ガイドライン, 金原出版, 2016
国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス 「免疫療法」

※免疫チェックポイント阻害薬による治療の対象となるのは、頭頸部がんの患者さんのうち、再発をきたした方、または、がんが体の他の場所にも広がっている方で、化学療法(プラチナ製剤による)を受けたことがある患者さんに限られます(2018年1月現在)。

監修:
国立がん研究センター東病院
副院長 兼 頭頸部外科長
林 隆一 先生

頭頸部がんの治療で小野薬品の薬を使用された方へ